(神奈川県横浜)市、がれき処理対応へ

 東日本大震災で発生した被災地のがれき処理について、林文子市長は19日の会見で、「安全性が確認されたら、基本的に処理させてもらいたい」と語った。具体的な受け入れ要請は届いていないという。

 放射性物質への不安が高まり、消極的な姿勢に転じる自治体が相次いでいることから、環境省は、がれき受け入れについて全国の自治体に意思確認を進めている。市長は「市民に不安を与えないよう安全性はきちっと確認したい。(受け入れる場合)工夫していかなればいけないでしょう」と話した。

 また、南本牧廃棄物最終処分場で放射性セシウムを含む下水汚泥の焼却灰の受け入れを凍結した問題について、市長は、焼却灰をより多く汚泥資源化センターに保管するため「コンテナを2段重ねにして使うことを検討している。これまでの2倍保管できる」と説明した。

asahi.com 2011年10月20日
http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000001110200002

(秋田県)震災がれき、9市町村「受け入れない」 残る市町村の大半慎重

 東日本大震災で発生した岩手県久慈市など沿岸北部のがれきについて、本県全25市町村のうち9市町村が「受け入れない」との方針や意向を示していることが17日、分かった。

 残る16市町村は現在のところ、「検討中」としているが、ほとんどは受け入れに慎重な姿勢。処分場の容量が足りないことや、焼却灰から国の埋め立て暫定基準値(1キロ当たり8千ベクレル)を超す放射性物質が検出された場合の処分方法が、明確に国から示されていないことなどが主な理由となっている。現段階では、受け入れるとする市町村はなかった。

 秋田市の穂積志市長は、14日の会見で「(がれきを焼却した際に)安全かどうかの見極めが難しい」と述べ、現時点では受け入れないとの方針を表明。他の8市町村は、受け入れない意向について「処分場が狭い、またはない」(鹿角市小坂町藤里町八峰町上小阿仁村大潟村)、「処分場が工事中」(北秋田市)、「老朽化により市内分の処理で精いっぱい」(潟上市)などを理由に挙げている。

◆がれき受入れに関する県内市町村の考え
受入れる→無し
受入れ無い→秋田市鹿角市北秋田市潟上市小坂町、上阿仁村、藤里町八峰町大潟村
検討中→大館市能代市男鹿市由利本荘市にかほ市、大仙市、横手市湯沢市三種町五城目町八郎潟町、井川町、美郷町、羽後町、東成瀬村

さきがけ on The Web(2011/10/18 11:08 更新)
http://www.sakigake.jp/p/akita/news.jsp?kc=20111018f

(秋田県)焼却灰受け入れ再開遠し

 秋田県忠犬ハチ公の故郷・大館市十和田湖畔の小坂町が、首都圏からの家庭ごみ焼却灰の受け入れを拒否し、行き場のない焼却灰が山積みになっている。東日本大震災の福島第1原発事故に伴って、基準を超える放射性物質に汚染された焼却灰がいつの間にか持ち込まれ、不信が高まったためだ。受け入れが再開できない背景には、反対ムードの過熱がある。

 「(再開は)市民の理解を得ないとできないが、県外からたくさんの声が寄せられると…」と嘆くのは、大館市の環境課。9月17日の住民説明会の直前4日間で、関東や関西を含む抗議電話が約100本入り、応対に忙殺された。説明会への参加者約100人のうち半分は住民以外の人たちだったという。小坂町にも県庁にも抗議の電話やメールが届いている。

 問題となったのは千葉県の流山市松戸市からの焼却灰。放射能が国の基準値(1キロ当たり8千ベクレル)を上回る2万8100ベクレルと1万500ベクレルを示した。排出自治体で保管されなければならない規定だったが、松戸市からの約40トンは連絡が遅れ、小坂町の処分場に埋め立てられてしまった。

 明治時代ごろから鉱山で栄えた大館市小坂町は、鉱山の跡地を全国最大級の処分場として利用し年間9万トンほどの焼却灰を埋め立て処分してきた。焼却灰を送り込んでくるのは7県約30自治体に及ぶ。小坂町は処分業者との契約で、処分量に応じ年間2千万円程度の寄付「協力金」を得ている。

 事故後、処分業者は基準値を上回る焼却灰を埋め立てた地表をコンクリートで覆い、今後の焼却灰受け入れでは排出時と受け入れ時に放射能の二重測定を行う改善策を提示。両市町議会も理解し、受け入れ再開が近いとみられたが、反対ムードの急激な過熱ぶりに「受け入れないという選択肢もある」(小畑元・大館市長)と、両首長とも慎重姿勢に転じた。

 小坂町は業者の改善策にさらに安全を担保する条件をつけさせ、国の動向を見ながら再開の道を探る考えだ。一方、大館市は受け入れ反対派からの要請で開く説明会が続き、当分は出口が見えない。

 国のリーダーシップと科学的な根拠に基づいた基準、そして“助け合いの精神”で、冷静に放射能汚染処理に向かい合う時期に来ていると思う。感情にまかせた抗議行動が問題解決につながるとは思えない。まして住民が率直に考えを表明する機会を、外部の人間が阻害する行為は厳に慎むべきだろう。(秋田支局長 原圭介)

msn産経ニュース 2011.10.20 06:19
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111020/dst11102006230001-n1.htm

(東京都大田原市)東京新聞:最終処分場への焼却灰搬入停止 一時保管も限界間近

 ごみの焼却灰を埋め立てている大田原市の廃棄物最終処分場で、放射性物質を含む焼却灰の搬入が住民の反対で、約四カ月も止まっている。灰を保管するごみ処理施設も許容量が限界に近づき、同市と那須町は二十日から、家庭ごみの回収日を週二回から一回に減らす。国による除染準備が進む一方で、汚染された廃棄物を抱える現場は混迷している。 (神田要一)

 「埋め立てられた焼却灰が、この場所にずっとあるのは不安。放射性物質が出ている以上、率先して受け入れることはできない」

 大田原市の最終処分場・黒羽グリーンオアシスから約一キロの同市川田地区。住民の無職男性(66)はそう語り、眉をひそめた。

 処分場を管理する那須地区広域行政事務組合によると、大田原市那須町から回収したごみは、同市内のごみ処理施設・広域クリーンセンター大田原で焼却し、灰を処分場に埋め立てていた。一日平均で燃え殻の「主灰」が約十トン、ばいじんなどの「飛灰」は約四トン排出される。

 しかし、飛灰から国の基準(一キログラム当たり八〇〇〇ベクレル)を超える一万三五八〇ベクレルの放射性セシウムが検出され、川田地区の住民は「処分場に持ち込まないで」と態度を硬化。六月下旬から搬入をやめ、ごみ処理施設内で保管せざるをえなくなった。組合の担当者は「住民には放射能自体がノーということ。説明をしようにもできない」と頭を悩ませる。

 環境省は八月末、八〇〇〇〜一〇万ベクレル以下の焼却灰はセメントで固め、雨水を防ぐ屋根や遮水シートなどを設けて埋め立てる処分方法を発表した。今月七日現在、同組合の検査で放射性セシウムは一キログラム当たり六〇六〇ベクレルまで下がった。組合側は「国の基準以下の灰だけでも処分を認めてほしい」と主張するが、理解は得られていない。

 主灰は民間業者が引き取っているが、保管している飛灰の量は約三百九十トンに上り、置き場所に余裕がなくなっている。こうした事態を受け、大田原市那須町は家庭ごみの回収を抑えることに。組合も、放射性物質の濃度が比較的高い草木や落ち葉の受け入れをやめ、ごみの減量に懸命だ。

 来年一月に施行される放射性物質汚染対処特別措置法では、著しく汚染された廃棄物を「指定廃棄物」とし、「国の責任で保管や処分をしていく」と基本方針を示した。環境省の担当者は「国の検討会で、焼却灰は八〇〇〇ベクレル以上の場合に指定廃棄物とする方向で検討している」と説明する。

 ただ、「指定廃棄物の処理は排出された都道府県で行う」という方針も盛り込まれており、住民の要望と処理方針をめぐって今後、混乱も予想される。

(TOKYO Web)2011年10月20日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20111020/CK2011102002000067.html

保管の焼却灰1万5000トン余に

一般ごみを燃やした灰から放射性物質が検出されている問題で、関東と東北の清掃工場では合わせて1万5000トン余りの焼却灰が埋め立てできず、一時的に保管されていることが分かりました。多くの自治体などは、国が処理方法として示しているセメントで固める施設がないことや、住民が埋め立てに反対していることなどを理由としていて、放射性物質を含む焼却灰の処理が深刻な問題になっていることが明らかになりました。

一般ごみを燃やした灰について、環境省は、放射性セシウムの濃度が1キログラム当たり8000ベクレルを超え10万ベクレル以下の場合は、灰をセメントで固めたうえでコンクリートの容器に入れるなどすれば埋め立てができるとする方針を示しています。ことし8月に公表された調査によりますと、灰からこうした放射性セシウムが検出された清掃工場は、関東と東北にある7つの都と県の合わせて42の施設となっています。NHKが、これらの施設を運営する合わせて35の自治体や事務組合などに取材したところ、埋め立てできずに一時的に保管されている焼却灰は合わせて1万5580トン余りに上っていることが分かりました。複数回答で理由を聞いたところ、灰をセメントなどで固める施設がないことを挙げている自治体などが29と最も多く、国が方針の中で示している方法が設備上の理由から現実的でないことが浮き彫りになりました。また、住民の反対によって埋め立てできないという自治体などが8つ、リサイクル業者などから引き取りを拒否されているという自治体などは4つとなっていて、放射性物質を含む焼却灰の処理が各地で深刻な問題になっていることが明らかになりました。この問題では焼却灰が保管できる倉庫が満杯になるおそれがあるとして、可燃ごみの収集日を減らしたり、木の枝や落ち葉などに放射性セシウムがついている可能性が高いとして分別収集を始める自治体などが出てきています。

家庭などから出される一般ごみを燃やした灰に放射性物質が含まれている問題が明らかになったのは、ことし6月に東京・江戸川区の清掃工場で、一般ごみを燃やした灰から1キログラム当たり9740ベクレルの放射性セシウムが見つかったのがきっかけでした。環境省が、東北や関東甲信越などの16の都県にある焼却施設で一般ごみを燃やした灰を調査したところ、岩手、福島、茨城、栃木、群馬、千葉、東京の7都県にある42の施設で、1キロ当たり8000ベクレルを超える放射性セシウムが検出されました。これを受けて環境省は、専門家による検討を踏まえて、焼却灰に含まれる放射性セシウムが8000ベクレル以下であれば、そのまま埋め立てを認める方針を示すとともに、8000ベクレルを超えて10万ベクレル以下の場合は、地下水の汚染を防ぐため、灰をセメントで固めたうえで鉄筋コンクリートなどの容器に入れるなどすれば、埋め立てができるとする方針を示していました。しかし、こうした設備をもともと備えている施設はほとんどないうえ、新たに整備するにも、経費やスペースの確保の問題などから各自治体や組合は難しいとしています。また、埋め立てを行う処分場周辺の住民などから、放射物質を懸念する声が上がっていることも焼却や埋め立てが進んでいない大きな理由になっています。このため、環境省は、自治体が行う住民説明会に職員を派遣して理解を求めるとともに、8000ベクレルを超える焼却灰の新たな処理方法の検討を始めています。こうした放射性セシウムの濃度が1キロ当たり8000ベクレルを超える焼却灰や汚泥について、政府は、来年1月以降は「指定廃棄物」に指定して国の責任で処理を行うとする方針案を今月になってまとめましたが、国の対応がごみ処理の実態に追いついていない現状が浮き彫りになっています。

NHK NEWS WEB 10月20日 15時43分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111020/t10013396861000.html

原発20〜100キロ内の河川は規制値以下 文科省が放射性物質調査

 文部科学省20日東京電力福島第1原子力発電所から半径20〜100キロメートル圏内の河川と井戸水に含まれる放射性物質の濃度の調査結果を公表した。福島県南相馬市の河川水でセシウム137が1キログラムあたり2ベクレル、セシウム134が同1.9ベクレルで最も高かったが、暫定規制値を大きく下回った。

 6〜8月に梅雨を挟んで放射性物質の濃度変化を測定。土壌へのセシウム蓄積量が比較的高い地域を選び、河川水は50カ所、井戸水は51カ所で試料を採取した。

 井戸水の最大濃度はセシウム137の同1.1ベクレル、134の同0.85ベクレルで、ともに福島県本宮市内。ストロンチウムは河川・井戸水で検出されたが微量で、井戸水については原発事故の影響かどうかは確認できなかった。プルトニウムは検出されなかった。

日本経済新聞  2011/10/20 22:14
http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819695E0E2E2E1918DE0E2E3E2E0E2E3E39180EAE2E2E2

(千葉県柏市)焼却灰 掘り起こしドラム缶に

一般ごみを燃やした灰から放射性物質が検出されている問題で、千葉県柏市は、ことし6月に最終処分場に埋め立てた焼却灰から国の目安を超える放射性物質が検出されていたことから、灰を掘り起こしドラム缶に入れて一時保管する作業を始めました。

原発事故のあと、柏市では、市内の清掃工場で一般ごみを燃やした灰およそ25トンを、放射性物質の検査を始める前のことし6月に市内の最終処分場に埋め立てました。その後、埋め立てた灰を検査したところ、国が埋め立てができるとした目安の、最大でおよそ6倍に当たる1キログラム当たり4万8900ベクレルの放射性物質が検出されました。このため柏市は、地元の住民と協議し、灰を掘り起こしドラム缶に移し替えて一時保管する作業を始めました。作業は、周囲に放射性物質が飛び散らないよう、長さ24メートル、幅13メートルの大型のテントの中で行われ、重機を使って掘り起こした灰をドラム缶に詰めて、テントの外に運び出していました。ドラム缶は、ふたを溶接して密閉したうえで、土をかぶせて防水シートで覆うなどし、敷地内で一時保管するということです。作業は今月いっぱいかかるということです。柏市環境部の浜島寿彦主査は「住民の皆さんの不安の声は当然で、一時保管にあたっては、より一層の安全管理に努めたい」と話していました。

NHK NEWS WEB 10月20日 21時50分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111020/t10013407881000.html

東日本大震災:がれき「処分コストばく大」 瀬戸・東京農工大名誉教授が講演 /愛媛

 東日本大震災の被災地の災害廃棄物(がれき)の受け入れについて考えようと、40年以上ごみや廃棄物問題の研究をしてきた東京農工大の瀬戸昌之名誉教授の講演会「ごみと原発を考える」が15日、松山市堀之内の県美術館講堂であった。

 災害廃棄物について考えるため9月に発足した市民団体「ごみを考えるネットワークえひめ」が主催した。

 自らがかかわった東京都日の出町の処分場について説明した瀬戸名誉教授は、「同町の処分場では多摩地域の約360万人の一般廃棄物を燃やした灰を埋めている。学識者が遮水シートを敷いてあるからごみから出た汚水が地下水を汚すことはないと言っているが、結果的に日の出町の地下水は下水並みに汚れた」と指摘した。

 また、震災による災害廃棄物については、「処分のコストは一般廃棄物で1トンあたり10万円はかかる。災害廃棄物や放射能で汚染された廃棄物となると、除染費用や運送費でもっと高くなり処分料金はばく大になる」との見通しを示した。

 瀬戸名誉教授は原発事故への補償について、「福島第1原発事故前は利益を独占しながら、事故後のがれきの処分費用は税金で払っている。まずは東京電力に除染と補償をさせるべきだ」と主張した。【村田拓也】

毎日新聞 2011年10月16日 地方版
http://mainichi.jp/area/ehime/news/20111016ddlk38040406000c.html

東日本大震災:流出がれき300万トン 松山・愛媛大で海ごみ対処法を議論 /愛媛

 東日本大震災で海洋に流出したがれきなど廃棄物について考えるイベント「東日本大震災に起因する漂流漂着物問題について」が23日、松山市文京町の愛媛大であった。全国の学識経験者や行政職員、NPO関係者ら約100人が出席。研究者からは「流出がれきの推計量は約300万トン」といった報告があり、漂着したがれきの対処法などについて意見を出し合った。

 海岸漂着ごみについて話し合う「海ごみサミット・愛媛会議」の一環。愛媛大と、海洋ごみの調査研究を行う団体「JEAN」(東京都)が主催した。

 イベントでは、震災廃棄物にかかわる3人が報告。そのうち、国立環境研究所の石垣智基・主任研究員は、海に流出したがれきの量について、国が震災前に推計していたがれき量と、現在陸地に残るがれきの差から求める方法と、ごみの組成から算定する手法の2種類を紹介。その結果はほぼ一致したことで、「恐らく約300万トンとみられる」と説明した。

 また、環境省の宮元康一・海洋環境室長補佐は海底に沈んだごみの分布状況を、「岩手県では沿岸近くに、仙台湾では比較的沖合まで広がっている」と話した。

 参加者からは「さまざまなネットワークを駆使して漂流ごみについて対処すべき」などと意見が出た。【津島史人】

毎日新聞 2011年9月24日 地方版
https://mail.google.com/mail/?hl=ja&shva=1#inbox/13321f2b5b85a87d