震災からの復興へ 環境省に課せられた課題

 福島県東日本大震災からの復興を妨げている、放射性物質による土地の汚染。本格的な除染作業が待たれるが、除染で生じる新たな放射性廃棄物の処理など多くの課題が残されている。

 11年12月24日に閣議決定された12年度の政府予算案では、歳出の削減が求められる中、環境省の予算規模はこれまでの約5倍の1兆712億円となった。そのほとんどが除染に関する費用だ。

 12年1月から放射性物質汚染対処特別措置法が施行され、本格的な除染活動がスタートする。福島第一原発周辺の警戒区域計画的避難区域では国直轄の事業として除染が進められ、東日本では8県102市町村が汚染状況重点調査地域に指定され、状況を詳しく調査する。その上で、実際に除染する区域を定めた除染実施計画を作成し、国が費用を負担して除染が進められていく。

 また、12年初頭には福島県内の除染の拠点となる福島環境再生事務所が福島市に設置され、環境省をはじめ、他省庁からの応援を含め、職員が常駐することになる。12年4月には200人規模となり、政府一丸となって除染に取り組む体制が構築される。環境省は「除染なくして、福島の復興なし」として、除染に最大限努力していく方針を示している。

 一方で、除染作業で新たに生じる汚染土などを保管する仮置き場の確保の問題も出てくる。細野環境相は11年12月28日、福島県や県内の市町村に対し、福島第一原発のある双葉郡放射性廃棄物を中間貯蔵する施設を設置したいと要請した。細野環境相は「放射性廃棄物が大量に発生する地域になるべく近い場所」ということを選定の理由としている。

 しかし、原発事故直後に双葉郡を追われて避難を余儀なくされている住民にとっては複雑な思いだ。環境省の行程表では中間貯蔵を最大で30年間としているが、その後の最終処分場候補地の見通しもなく、なし崩し的に最終処分場にされてしまうのではないかと危惧する福島県民の反発が予想される。環境省は中間貯蔵期間に、新たな技術開発などで放射線量を下げたり、容量そのものを減らしたりする方法が出てくることを期待しているが、現時点で具体的な方法は見つかっていない。

 国は、福島県民の生活再建のために除染を着実に進めるとともに、住民に不信感を抱かれないよう、除染による放射性廃棄物の最終的な処分方法を真剣に議論する必要がある。< 2011年12月31日 21:20 >日テレ NEWS24
http://www.news24.jp/articles/2011/12/31/07197358.html