レーザー使い効率除染 若狭湾エネ研など装置を開発

 レーザーを使い、原発の配管などの表面に付着した放射性物質を効率よく削り取る小型の除染装置を、若狭湾エネルギー研究センター(敦賀市)などの共同研究チームが開発した。放射性廃棄物の量を従来より格段に減らすことができ、備え付けの集じん機に密閉するのが特徴。廃炉措置に伴う解体作業や東京電力福島第1原発事故の除染などに実用可能な技術として期待されている。国の特許も申請している。(竹内史幸)


 県はエネルギー研究開発拠点化計画の充実に向け、原子力防災の分野でレーザー除染技術を検討中で、装置の開発は先駆けとなりそうだ。

 開発したのは、同センターの峰原英介研究開発部長(63)らの共同研究チーム。放射性廃棄物を減らすとともに、日本原子力研究開発機構の原子炉廃止措置研究開発センター(ふげん)=敦賀市=の解体作業に活用しようと、約3年前から小型装置の試作を進めてきた。

 装置は、高出力のレーザーの焦点を3次元で配管などの表面に合わせ、高速で動かす。これにより、付着していた放射性物質を配管などの表面部分とともに薄く削り取る。従来手法の毎分0・3グラムから能力が一気に向上し、毎分100グラム除去できるとの評価結果が出た。

 平面だけでなく、階段状のブロック、コーヒー缶の表面などでも削り取りに成功。遠隔操作が可能で、被ばくや2次汚染の可能性は格段に下がるという。

 削りかすを装置の集じん機に閉じ込めることができるのも特徴。表面部分だけを削り取るため、放射性廃棄物の量は従来の1000分の1程度まで減らせる。

 試作品は、10センチ四方の範囲で削り取るが、試験中のロボットアームをつけた場合は2メートル四方に拡大。将来的には自走装置などで作業場所の移動も可能になるとしている。

 峰原部長は「例えば放射性セシウムが付着したコンクリートブロックや重機などを素早く除染できる」と説明。実用化されれば従来より短時間、安い費用で廃炉作業などが進むとし、「国内外で特許を得ていきたい。福島第1原発事故の除染にも活用できれば」と話している。

福井新聞 (2011年11月10日午前7時24分)
http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/nuclearpower/31450.html