(新潟県)がれき県内処理、5市にとどまる

 東日本大震災で発生した大量のがれきの広域処理について、県内30市町村で受け入れを検討しているのは新潟、三条、柏崎、村上、糸魚川の5市にとどまっていることが4日、新潟日報社の調べで分かった。ただ、いずれの市も放射性物質への対策と住民理解を前提としている。東京都では受け入れを始めており、放射能の専門家は「東京での検査を見る限り、心配ない」と指摘している。

 来年7月の完成を目指し、新しい処理場を建設中の三条市は、広域処理が必要な災害ごみも受け入れることを条件に国からの交付金を受けた。しかし今回は「放射性物質の問題もあり、住民理解が必要」としている。柏崎市も住民理解のほか、がれきの分別や放射線の検査態勢などを課題に挙げる。

 長岡市は4月の県の調査で「一般家庭ごみなら受け入れられる」と答えたが、がれき処理が対象となった現在は「検討していない」に転じた。放射性物質に対する懸念のほかに「大量のがれきを破砕する機械がない」などと設備面の不足を理由にする。

 上越市も「市民のコンセンサスが得られていない」と慎重。新潟・長野県境地震で被災した十日町市津南町や、7月末の記録的豪雨で被害を受けた南魚沼市は「地元の廃棄物処理などに手いっぱいで、協力できる状況にない」。廃棄物処理施設の能力不足を理由にする市町村も多かった。

 五泉市阿賀野市、加茂市は「保留」とした。五泉阿賀野の両市は「県が受け入れに関する指針を示してほしい」などと要望している。

 東京都は岩手県のがれきを3日から受け入れている。新潟大工学部の今泉洋教授は「東京で計測した放射線量をみると、基本的には心配する必要のないレベルだ。この線量ならば処理しても問題ないと考える」と話している。

新潟日報2011年11月5日
http://www.niigata-nippo.co.jp/news/pref/28869.html