(岩手県)放射性物質含む焼却灰埋め立て 説明に疑問、不安の声 ごみ処理絡み対応に苦慮 前沢の処分場 一般公開始まる(奥州金ケ崎行政事務組合)

 放射性セシウムを含む焼却灰が埋め立てられている一般廃棄物最終処分場=前沢区石田=の一般公開が4日、始まった。施設を管理運営する奥州金ケ崎行政事務組合の職員が、国の方針・基準に沿って実施している灰処理方法などを説明。しかし参加者からは、国の方針自体の信頼性を問う声や、放射能対応施設ではない処分場への埋め立てを心配する声が寄せられた。
 放射性物質を含む焼却灰処理問題に対する住民要望を踏まえ、組合は4日から6日までの午前9時から午後5時まで、同処分場を一般公開している。1日2回(午前10時と午後1時半)、職員による説明会も開いている。
 4日午前10時からの説明会には、中高齢者を中心に25人が参加した。職員の案内で焼却灰埋め立て途中の現場に足を運び、組合や参加者が所有する複数の測定器で空間放射線量を測定(単位・マイクロシーベルト、毎時)した結果、国が速やかな除染が望ましいとする毎時1マイクロシーベルを下回る0・20台の数値が検出された。

 埋め立て地にたまる水を中間処理する施設では、組合側が水処理工程などを説明。埋め立て地を覆う遮水シートや、シートが破れて地下に水が浸透した場合に作動する検知システムなどについても、実物を示しながら説明し理解を求めた。
 一方、参加者は組合が以前に行った混合灰での埋め立てを取り上げ「処理は安易な考え方だ。国の埋め立て基準はどうして変わったのか」「処分場は放射能対応を考えた整備はしていないはずだ」などと指摘した。
 組合側は「混合灰の考え方を含め、国の埋め立て方針や基準については、環境省担当者が7日に開く住民説明会に参加し説明する」と答えるにとどめた。
 前沢区内の60代の行政区役員は「見学したが、将来にわたる安心は得られない。しかし焼却灰を受け入れなければ(胆江地区の)家庭ごみが処理できなくなる問題も起こる」と複雑な表情。「地元からは埋め立てに不安の声が出ている。住民にはまず見学してもらい、現状を把握してほしい。その上で地域としての対応を決めた方がいい」と話した。

胆江日日新聞 2011-11-05 09:39:06
http://www.tankonews.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=1147