新潟市、新エネ計画策定急ぐ 下水汚泥やゴミも活用

 新潟市は新エネルギー導入と省エネ対策を進めるため、2012年度から3年間の「新潟スマートエネルギー推進計画」(仮称)の策定を進めている。東日本大震災に伴う原子力発電所事故と電力不足を受け、太陽光、風力発電のほか、下水汚泥やゴミの“地域資源”も活用して、自前の発電設備を増強する。

 新潟市民の憩いの場として親しまれている鳥屋野潟。その近くにある新潟市中部下水処理場で、下水の処理過程で出る汚泥を活用した発電が来年10月から始まる。

 同処理場は約23万5000人分の下水を処理している。1日に2000立方メートル出る汚泥を発酵させて発生したメタンガスを燃やし、一般家庭約190世帯分に相当する560キロワットの電力を発電する。処理場の年間使用電力の4割を賄い、電気代を年間4400万円削減できるという。

 市下水道管理センター施設管理課の松田憲吾課長は「より省エネで二酸化炭素(CO2)排出も少ない施設になる」とメリットを強調する。

 同市西区笠木では、約135億円をかけて新・新田清掃センターを建設している。ここでは1日に最大330トンのゴミを焼却し、タービンを回して発電する。

 発電出力は7800キロワットと、既存設備の4倍に増える。清掃センターと併設する温浴施設「アクアパーク」の電力をまかない、余剰分は電力会社に売電する。

 県が策定中の推進計画は「新エネルギーの導入」「省エネルギー推進」「スマートグリッド(次世代送電網)の活用」の3つを柱に据える予定。

 新エネルギーの導入では、太陽光発電などの補助金制度拡充のほか、自前の発電設備を増やす。情報通信技術を使って、効率的に送電するスマートグリッドは地域を指定し、スマートメーターなどを活用した実験も検討する。来年度予算案にも新たな事業を盛り込む。

 市は06年度に「新潟市地域新エネルギービジョン」を策定し、気候や産業特性などを踏まえた新エネ導入を打ち出した。太陽光発電のほか、下水汚泥や廃棄物を使った発電が有望として、市施設への導入や民間への補助金創設を進めてきたが、具体的な目標や計画は作っていなかった。

 大震災で電力不足に陥り、原子力利用の拡大も難しくなった。そこで「市としてもエネルギー分野で役割を果たす必要がある」(市幹部)として、新エネ導入や省エネの目標を定める推進計画を策定することにした。3年間で、新たに1万世帯分以上の電力を捻出したい考えだ。

日本経済新聞 2011/11/4 23:52
http://www.nikkei.com/news/local/article/g=96958A9C93819490E2E1E2E2938DE2E6E3E3E0E2E3E39EE0E3E2E2E2;n=9694E3E4E3E0E0E2E2EBE0E0E4E6