環境省 被災地の地下水質モニタリング調査 放射性物質濃度の測定結果を公表

 環境省は、平成23年12月16日、宮城県山形県福島県茨城県及び栃木県内の地下水の放射性物質濃度の測定結果を第5報として公表した。
 今回公表したのは、宮城県39地点(採取日:10月7日〜26日)、山形県41地点(採取日:10月7日〜26日)、福島県271地点(採取日:10月7日〜11月22日)、茨城県44地点(採取日:10月18日〜31日)、栃木県38地点(採取日:10月19日〜31日)の放射性ヨウ素(I-131)及び放射性セシウム(Cs-134、Cs-137)の測定結果。
 公表によると、放射性ヨウ素については全ての地点で不検出であった。放射性セシウムについては、福島県大熊町において検出限界値の1Bq/L※を検出したが、その他の地点では不検出であった。
 今後、環境省では、宮城県山形県福島県茨城県及び栃木県において、県や市町村等の関係機関と調整を行い、継続的に地下水の放射性物質濃度の測定を実施することとしています。
 また、放射性セシウムが検出された福島県大熊町については、直ちに問題となる濃度のレベルではないと考えられるものの、追加調査を実施する等、福島県等とも協力して、汚染実態の把握に努めていくとしている。

※「原子力施設等の防災対策について(原子力安全委員会)」飲食物の摂取制限に関する指標(飲料水)
 放射性ヨウ素(I-131):300Bq/Kg以上
 放射性セシウム(Cs-134、Cs-137合計):200Bq/Kg以上

2011.12.16 EICネット
http://www.eic.or.jp/news/?act=view&serial=26335

東電社員「環境省の除染推進員」に 除染活動円滑化狙う

 東京電力福島第一原発の事故で飛散した放射性物質による汚染をめぐり、環境省は15日、汚染地域で除染活動にあたる東京電力の社員を「除染活動推進員」に任命する委嘱状を渡した。除染活動中、東電という肩書で、住民から受け入れてもらえないケースがあったためだという。これからは、環境省のロゴ入りの腕章を着けて活動する。

 推進員に選ばれたのは、東電と関連会社の36人。今後100人規模に増やす見込み。12月からの新制度で任期は2年で無給。細野豪志原発担当相は「除染は政府と東電の責任。人員拡充のため社員に参加して欲しい」と話し、東電の西沢俊夫社長に委嘱状を手渡した。36人は警戒区域で活動する自衛隊とともに、除染の効果を調べる放射線量の調査や機材の調達をする。

 環境省は今後、除染に協力しているほかの電力会社員も推進員に任命する。

2011年12月15日10時47分 asahi.com
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201112150120.html

放射性廃棄物「中間貯蔵施設」を福島県に 政府工程表 3年後の運用開始を目指すが・・・

 東京電力福島第1原発事故による放射性物質の対処で政府はこのほど、除染で発生する汚染された土壌や廃棄物の「中間貯蔵施設」について、基本的な考え方と工程表を示した。中間貯蔵施設は福島県内に建設し、3年後をメドに運用を開始すると明示。貯蔵期間は30年以内として、最終処分は県外で行うことを約束した。しかし、施設建設用地も最終処分の方法や処分地についても案があるわけではなく、地元からはさまざまな懸念の声が挙がっている。先行きは極めて不透明だ。

 除染は、事故による放射性物質への対処を定めた特別措置法が来年1月1日に全面施行されてから本格化する。国は、自然界からの放射線量を除いた被ばく量が、年間1ミリシーベルト(毎時0・23マイクロシーベルト)を超える地域について責任を持って除染することを決めている。

 福島第1原発から半径20キロ以内の「警戒区域」と、事故発生からの1年間の積算線量が20ミリシーベルトに達する恐れのある「計画的避難区域」は、「除染特別地域」として国が直轄で実施。その他で対象となる地域は、文部科学省が実施している航空機モニタリングの結果や各自治体による地上での測定結果などを総合し、環境相が「汚染状況重点調査地域」に指定する。汚染状況重点調査地域については、費用は国が負担するが、実際に除染を行うのは自治体。国と協議しながら除染計画を策定し作業を進める。

 除染作業では、土を削り取ったり落ち葉や枝を拾い集めたりするため、大量の汚染物が発生する。環境省文部科学省の航空機モニタリングの結果(9月18日時点)などから試算したところ、住宅地や工場など生活や産業活動の場となる地域を優先して作業した場合には、福島県で1500万立方メートルの汚染土壌などが発生する。また、森林なども含めて除染すると、同県で3100万立方メートルに上る。

 この結果から工程表では、中間貯蔵施設の容量を約1500万〜2800万立方メートル程度、敷地面積は約3〜5平方キロと想定した。一方で、福島県以外の都道府県の除染については、汚染土壌の量が比較的少なく、汚染レベルも低いことから、発生都道府県内の既存の管理型処分場などを活用し、中間貯蔵施設建設は検討しないとした。

 中間貯蔵施設には、廃棄物の大部分と考えられる土壌を濃度に関係なくすべて保管する。枝や落ち葉は焼却し、1キロ当たり10万ベクレルを超える灰を搬入。それ以下の濃度の灰は既存の管理型処分場に埋め立てる。

 大気と地下水での放射性物質の有無を検出する装置を中間貯蔵施設に設置し、モニタリングを続ける。また、保管方法は濃度によって変える。高濃度の廃棄物は、放射性物質が漏れないように細かく仕切った鉄筋コンクリート製構造物を地中に設置。廃棄物は容器に入れて小分けにし、搬入後はふたで覆い完全に地中に埋める。低濃度廃棄物は穴を掘って、小分けにして積んでいく。放射性物質を含んだ水が漏れないように遮水壁で囲み、搬入後は土をかぶせる。

 政府は、中間貯蔵施設の運用開始までは地域ごとに設ける「仮置き場」に汚染土壌などを保管する方針を示している。仮置き場は市町村ごとに設置し、除染特別地域では環境省が確保する。工程表では仮置き期間を3年とし、細野豪志環境・原発事故担当相は「国としても仮置き場の選定や安全の確保には責任を持ってやりたい。一定期間の後には中間貯蔵施設に移動させる」と強調する。

 しかし、工程表では中間貯蔵施設の具体的な立地場所の選定について、保管容量や施設の規模が明らかになった段階で「関係市町村や地域住民の理解と協力を求める」とするにとどめており、仮置き期間に根拠があるわけではない。
不透明な最終処分場の在り方

 また、裏付けがないのは中間貯蔵施設での保管期間「30年以内」も同じだ。環境省はその背景について「除染作業が20年以上続くと予想されるため」と解説するだけだ。最終処分場の場所や方法を明らかにしなかったことについて、環境省は「最終処分では放射性物質の量を減らすことが重要だが、一方で凝縮され高濃度の廃棄物が生じる。こうした廃棄物の最終処分場は国内になく、受け入れ先を探すのは非常に難しい」と釈明している。

 これについて森口祐一・東京大教授(都市工学)は「最終処分の方法まで見すえて初めて、今回の中間貯蔵施設の工程表が意味を持つ。早急に全国的な議論を始めることが重要だ」と指摘する。

 このような状況で、仮置き場も中間貯蔵施設も設置を受け入れる自治体が現れるかが最大の課題となる。住民の中には仮置き場からの放射性物質の漏出や放射線による健康被害への不安が根強い。一方、福島県内の自治体には、中間貯蔵施設がそのまま最終処分場になることへの懸念がある。市町村長からは「最終処分は県外でという約束が守られるのか」「30年後に空手形になるのではないか」との声も出ている。

 細野環境・原発事故担当相は「私は今、40歳。30年先をしっかりと見届けなければならないと思っている。そういう覚悟で工程表は作ってある。まずは耳を傾けていただきたい」と理解を求める。

 また、膨大な量の廃棄物をそのまま保管・処分する施設を作ることは現実的ではなく、汚染廃棄物の量を減らす「減容化」も課題となる。汚染廃棄物の発生量について、「環境省の試算よりも増える可能性がある」とする専門家もいる。米田稔・京都大教授(環境リスク工学)は「政府は減容への具体的な方針を示していくことが重要だ」と提言する。

 減容技術開発の例としては、財団法人「原子力研究バックエンド推進センター」が取り組んでいる研究がある。センターの森久起・専務理事によると、工事跡地の土壌から化学物質を法律で定める基準以下にするゼネコンの技術に着目し、放射性物質への応用を検討しているという。細野環境・原発事故担当相は「放射性物質の分離・濃縮など技術の研究開発を進め、責任を持って取り組んでいきたい」と話すが、減容技術の研究開発は始まったばかりだ。

2011年12月20日(火) 毎日フォーラム
gendai.ismedia.jp/articles/print/29336

(山形県)最上町、がれき受け入れ始める 松島町の要請応え小型漁船36隻分

 最上町は東日本大震災で被害を受けた宮城県松島町の要請に応え、被災した小型漁船のがれき36トンの受け入れを今月9日から始めた。20、26日も実施し、計3回に分けて搬入される予定。近海で使用する1トンクラスの漁船約36隻分に相当し、現地で破砕してから最上町に搬入され、同町内の民間業者が焼却処分を行う。

 小型漁船は船体の大部分が繊維強化プラスチック(FRP)のため、破砕後は廃プラスチックとなる。松島町の処理施設も被災し、処分に苦慮していたが、最上町が震災支援の一環で受け入れを決めた。町内の産業廃棄物処理施設「最上クリーンセンター」が協力し、廃プラスチックの焼却溶解を行い、溶解スラグにして再資源化する。

 両町は先月30日、今回の震災がれきの処分に関する同意書を交わした。主に被災漁船の放射線量に関する内容で▽廃船の破砕前に放射性物質測定を行い、本県の受け入れ基準値の1キロ当たり200ベクレル以下を確認▽破砕後のサンプルを本県に提出▽最上クリーンセンターは処理中の測定記録を本県と最上町に報告−など。

 松島町から提出された廃船の放射性物質の測定結果では、放射性ヨウ素と同セシウムはいずれも検出されていない。受け入れ計画は約70隻分となっており、年内の搬入は半分程度、残りは年明け後となる見込み。

 震災がれきの受け入れについて、最上町は7日に開かれた町議会全員協議会で報告した。町は「最上クリーンセンターは多数の要請を受けているが、震災がれきの町内への受け入れは、今後も町が窓口となり慎重に進めていく考え」とした。

2011年12月15日 山形新聞
http://yamagata-np.jp/feature/shinsai/kj_2011121501393.php

(神奈川県)埋め立て協力の意向、震災がれき焼却灰で吉田市長/横須賀市

 東日本大震災で発生したがれきの処理を黒岩祐治知事が県内で受け入れる意向を示したことに関し、県の産業廃棄物最終処分場がある横須賀市吉田雄人市長は21日の定例会見で「知事の気持ちは理解できる」と述べ、協力する姿勢を示した。「何よりも地元の理解が大切」とも強調し、処分場周辺への説明を県に求めた。

 吉田市長は、処分場のある地域周辺のほか「搬送車両が通る地域も含めて丁寧に説明してほしい」と県に要望。「市としても、地元の声を県に届けることになるだろう」と話した。

 がれきを焼却した後の灰を埋め立てる場所として想定されるのは、市西部の芦名地区にある県の産廃処分場「かながわ環境整備センター」。近隣には、横須賀市三浦市が進めるごみ処理広域化計画に基づき、新しい処理施設を建てる計画地もあり、11月に地元自治会から建設の容認を取り付けたばかり。吉田市長が地元への説明を求める背景には、こうした事情もある。

 処分場をめぐって県と地元自治会の間で結んだ協定には、県外からの廃棄物を持ち込まないことや品目を8種類に限定することなどが盛り込まれている。県と地元は定期的に状況が報告される協議の場を設けているが「許可権限のない市は参加していない」(資源循環部)。

 処分場のある地元の町内会幹部は21日、「災害という特別な事情は理解しているが、ここはあくまで県内から出る廃棄物を埋め立てる処分場としての覚書を結んでいる。まず住民が納得できるよう説明を尽くしてほしい」と話した。

カナロコ 12月22日(木)0時0分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111222-00000001-kana-l14

(福島県)【若松の汚泥処理】基準以下でも拒否 宮城の業者「安全担保されず」

 県内の下水処理施設で汚泥の処理が進まない問題で、会津若松市は21日から宮城県の肥料業者に汚泥を搬出する予定だったが、20日になって受け取りを拒否された。汚泥の放射性セシウム濃度は肥料としての流通基準値200ベクレルを下回っているが、業者側は「周辺住民の安全が担保されない」としている。市内では、このまま処理が進まなければ、平成24年度末で仮置き場が満杯になる見通し。市は新たな引取先の確保を迫られている。

■突然の電話

 会津若松市下水浄化工場から出る汚泥の放射性セシウム濃度は15日の検査で1キログラム当たり121ベクレル。国が埋め立て処分可能とする8000ベクレルを大きく下回っている。汚泥肥料としての流通基準200ベクレルも下回ったため、市は21日排出分から宮城県の肥料業者に引き渡し、汚泥はのり面整形などの土壌改良剤として加工処理される予定だった。
 市の担当者は19日にも業者に引き取りを確認。搬出に向けて準備を整えていたが、20日午後、業者から「受け取れない」との電話が入った。業者側は「思った以上に数字が高かった。現在の半分くらいにならないと難しい」としており、計画は白紙に。市の担当者は「あらためて受け入れ先を探すしかない」と頭を抱えた。

■続く仮置き

 下水浄化工場敷地には問題が表面化した5月7日以降、汚泥の仮置きが続いている。脱水した汚泥を約700キログラムずつ土のう袋に詰め、その上にブルーシートをかぶせている。15日現在の仮置き量は約2400トン。工場からは毎日14トンの汚泥が出ており、今後も増え続ける。
 汚泥に含まれる放射性セシウムは3月の東京電力福島第一原発事故発生時に放出されたものとみられ、時間の経過とともに減少している。これまでの測定で最も高かったのは
5月3日の2610ベクレル。9月1日には410ベクレル、11月1日には260ベクレルとなった。
 市は「200ベクレル以下でも引取先がない。これまでの仮置き分は当然、行き場がない」としている。


【汚泥引き取り拒否】自治体から困惑の声 国も解決策見いだせず

 会津若松市の下水汚泥が業者から引き取りを拒否された問題は、国が設定する安全基準よりも、地域住民らが求める安心感への対応の難しさがあらためて浮き彫りとなった。産業廃棄物処分場への埋め立ては県内でも住民の反対で難航している。県内の自治体からは「どこまで下がれば理解が得られ、処分できるのか」と困惑の声が上がる。

■想定外

 「安全性に問題がないとして示した基準。受け入れが拒否されるのは想定外だ」。農林水産省農産安全管理課の担当者は会津若松市の汚泥の引き取り拒否を知り、声を落とした。
 同省は6月、肥料に利用する場合の放射性セシウム濃度について、流通は1キロ当たり200ベクレル以下、乾燥して濃縮された製品は400ベクレル以下とする安全基準を都道府県に通知した。肥料になれば土と混ざり、およそ10ベクレル以下に低減することを検証して設定した。
 全国で自治体や業者向けに説明会を開き、理解を求めてきたはずだった。今後、県内で同様の問題が起こる可能性もある。「基準は法律や省令ではなく、強制はできない。再度、周知を徹底するしかないが...」と解決策を見いだせない状況だ。

■どこまで下がれば

 雪が舞う福島市の堀川町終末処理場には、約1000トンの汚泥が保管されている。春ごろに最高で約44万ベクレルと高濃度だった放射能レベルは4000〜5000ベクレルまで低下。国の埋設基準である8000ベクレル以下をクリアした。それでも、住民の反対で処分場には埋められない。「200ベクレル以下でさえ引き取ってもらえないなんて...。どこまで低下すれば理解を得られるのだろうか」。市下水道管理センターの職員は、やり場のない思いを口にした。
 県によると、県内で保管されている汚泥の量は約2万1000トン。管理する自治体は福島市同様に埋め立てができず、身動きが取れない状況だ。「自治体と県外の民間業者の取引だけに、県として口を挟むのは難しい」。県下水道課の担当者は頭を悩ませる。
 県が管理・運営する浄化センター4施設の汚泥もようやく1000ベクレルを切った。「再利用できなければ、たまる一方。人ごとではない」と焦りの色を隠さない。県外に運び出すのが困難となれば、県内での処理が残された道となる。県は県内の今後の保管状況をにらみながら、県内業者に協力を求めることなどを検討する。

【背景】
 東日本大震災の影響で損壊した施設を除き、現在稼働している県内の県、市町村管理の下水道処理施設は52施設。このうち30施設で汚泥の処理ができずに保管されている。国は6月に1キロ当たり8000ベクレル以下なら管理型処分場に埋設可能とする基準を示した。しかし、処分場の周辺住民の反対で自治体は埋め立てできない状況に陥っている。

2011年12月21日 福島民報
http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2011/12/1.html