(大震災と群馬 振り返る2011)汚泥・焼却灰 5500トン保管

 3月11日に発生した東日本大震災は、群馬にどんな影響を与えたのか。2011年の「総決算」をみる。

 東京電力福島第一原発から放出された放射能は3月14日深夜〜15日未明、関東地方に流れ、群馬の北部山間部などにも落ちた。

 環境省は、地表などの放射性物質を取り除く「汚染状況重点調査地域」として、申請のあった12市町村(桐生市沼田市渋川市安中市みどり市下仁田町中之条町、高山村、東吾妻町片品村川場村みなかみ町)を指定。除染計画の検討が各市町村で始まる。

 放射性物質は、水で流され、下水処理場の汚泥や焼却灰から検出された。流域下水道や公共下水道をもつ県や18市町村は、東京電力に対して、保管や検査のための費用を請求する。総額は11月末現在で1億5千万円を超える。

 うち、県や11市町村(前橋市高崎市桐生市渋川市長野原町嬬恋村草津町東吾妻町片品村川場村みなかみ町)では今も脱水汚泥や焼却灰など計約5500トンの保管が続いている。新たな汚泥の放射能はすでに基準値を下回っている。

 学校給食の食材や調理済みのおかずなどの放射能を市町村独自で調べる取り組みも広がっている。10市町教委(前橋市桐生市、伊勢崎市、太田市館林市富岡市みどり市吉岡町千代田町邑楽町)で実施し、17市町村で予定や検討をしている。

 放射能が基準値を一時超えたホウレンソウやかき菜、お茶などの出荷停止・自粛と、県産牛などへの風評被害について、JA群馬中央会などでつくる農畜産物損害賠償対策県協議会は東電に計102億円の損害賠償を請求、11月25日現在で43億円の支払いを受けた。観光業の風評被害については、同月末現在、97件の請求が出ている。(石渡伸治)

2011年12月26日 asahi.com
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000841112260001