汚染廃棄物大幅に減量 熱分解装置を実証実験 福島・広野

福島第1原発事故で生じた有機物系の放射性廃棄物を熱分解し、容積を大幅に減らす装置の実証実験が福島県広野町で行われている。廃棄物の減量化につながるとして、町が導入を検討している。
 装置は環境機器製造「オーデン」(東京)が開発した。鉄製で幅、奥行きとも2.5メートル、高さ6メートル。石炭を燃やして内部温度を1000度に上げ、廃棄物を投入。マイナスイオンを吹き込んで熱分解し、粉末のセラミックス状にする。
 1回に投入できる廃棄物は2立方メートルで約24時間で処理できる。実験では放射性物質に汚染され、除染で刈り取った草木を処理。計約22立方メートルを投入し、275分の1の0.08立方メートルに減量できた。減量率は焼却処分の数倍だという。処理前は毎時0.74マイクロシーベルトだった放射線量は3.05マイクロシーベルトに濃縮された。
 処理が想定される廃棄物は除染廃棄物の草木の他、東日本大震災津波で破壊され、放射能汚染された木造住宅のがれきなど。放射性廃棄物を抱える自治体は保管場所の確保に頭を悩ませており、装置の減量効果が期待されている。
 実験装置は約6000万円。広野町は10倍の処理能力のある大型装置の導入を検討している。黒田耕喜副町長は「高い減量率で評価できる。復興基金を導入費に充てられるかどうかを県と協議する」と話した。

2011年12月10日土曜日 河北新報
http://www.kahoku.co.jp/news/2011/12/20111210t61007.htm