(埼玉県)川口市、仮保管の焼却灰を搬出 山形と群馬へ

 秋田県内の最終処分場の受け入れ停止に伴い7月から大量に仮保管されていた川口市のごみ処理施設の焼却灰が、山形県米沢市群馬県草津町の最終処分場に搬出されることになり、順調に作業が進んでいる。

 川口市朝日4丁目の朝日環境センターでは、溶融飛灰(排ガスのばいじんをセメントで固めたペレット状の固化灰)が、2炉の稼働で1日11トン出る。これを秋田県小坂町の最終処分場に埋めていた。同市藤兵衛新田の戸塚環境センターでは、2炉運転で1日10トン出る飛灰(ばいじん)を秋田県大館市の最終処分場に埋めていた。

 放射性物質の測定結果は、戸塚センターの飛灰が7月6日に1キロ当たり4100ベクレル、朝日センターの溶融飛灰は同3600ベクレルで、いずれも国の基準値以下だった。

 しかし千葉県松戸市から持ち込まれた焼却灰が国が埋め立てを認める基準値(同8千ベクレル)を大きく上回り、秋田県内の議会や住民の批判が高まったため、最終処分場側が受け入れを全面拒否。川口市からの運び出しも7月9日から停止した。飛灰や溶融飛灰は両環境センター内でプラスチック製フレコンパック(1立方メートル)に詰め、敷地内に保管していた。

 朝日センターでは10月31日時点で1299袋、戸塚センターでは441袋に達していた。新たな受け入れ先が決まったことにより、朝日センターでは11月1日から米沢市の最終処分場へ大型トラックでピストン輸送を続け、8日現在で115袋へ減った。戸塚センターでは8日午後、30袋を積み込んだ第1便の大型トラックが出発、草津町の最終処分場への運び出しを本格化した。処分場の受け入れは来年度3月末までの契約となっている。

 戸塚センターの大川龍彦所長(58)は「一時はどこへ持っていけばいいのか不安だった。見通しがついてほっとしている」。朝日センターの野尻敏夫所長も「このまま焼却灰を運び出せないと、最悪の場合は焼却炉の停止も頭をよぎった。一安心だ」と語った。

■返却灰18トン保管 加須市

 秋田県の処分場が首都圏からの焼却灰の受け入れを停止している問題で、加須市に戻る市搬出分の約18トンについて、処分先が決まるまで市のごみ焼却施設で一時的に保管されることが8日、分かった。

 返却される焼却灰は「加須クリーンセンター」から出た約9トンと「大利根クリーンセンター」から出た約9トンで、両クリーンセンターで保管する。同市の検査で焼却灰の放射性セシウムは1キロ当たり3200ベクレル以下と、国の基準値(同8千ベクレル)を下回っている。

 市は秋田県小坂町の民間最終処分場で焼却灰を埋め立て処理していたが、同じ処分場を利用していた千葉県流山市が基準値を超える焼却灰を運んだことをきっかけに、業者が7月14日から受け入れを停止。再開のめどが立たず、仮置きされていた同県大館市で今月3日、搬出作業が始まった。この問題で秋田県から首都圏の自治体へ返却される焼却灰は、6県6市町4事務組合で計約245トンに上る。

 秋田県での受け入れが困難になり、加須市は既に群馬、栃木県の処分場で焼却灰を処分している。市資源リサイクル課は「クリーンセンターが焼却灰で満杯になることはない」と説明。また、市民から「他県の焼却灰も来るのか」と懸念する声が寄られていることから、ホームページで今回の経緯を告知している。

2011年12月9日(金) 埼玉新聞
http://www.saitama-np.co.jp/news12/09/10.html