(福井県)高浜町長、がれき受け入れに意欲 復興向け「広域の支え必要」

 東日本大震災の被災地のがれき受け入れについて、福井県の野瀬豊高浜町長は8日の町会本会議で、「『がれき処分無くして復興無し』という状況を考えると、広域処理は避けて通れないのが現状。可能な範囲で受け入れるべきだ」との考えを明らかにした。県内の首長が、がれき受け入れに前向きな考えを示すのは初めて。

 県によると、廃棄物処理法では被災地と受け入れる自治体の協議でがれきを運ぶことが可能。全国では東京都と独自基準を設定した山形県が受け入れを始め、青森県八戸市が実施を表明している。

 一般質問の答弁で野瀬町長は「高浜町原発立地自治体であり、今後も原発堅持を求めている立場。この課題については真摯(しんし)に応える必要がある」とし、受け入れの条件としては「住民の合意と議会の理解が不可欠。不安解消に向けた説明や、国にしっかりした規制管理の申し入れも行っていく」と述べた。

 受け入れは可燃物を念頭に置き、量については町清掃センターが改修中のため「改修工程を見極めながら、いつどの程度受け入れられるのか検討する」と説明。その上で「(同センターが通常通り稼働すれば)日に3トンまでは受け入れ可能」との見方を示した。どこのがれきを受け入れるかについては、国や被災地との協議で決めることになるという。

 放射性物質を含む可能性があるがれきに関しては、野瀬町長は科学的に問題があるとされるレベルについては受け入れられないとする一方、「(問題のないレベルにまで)国民の一部に過剰に警戒するケースも見受けられる。不安に感じることをしたくないのは心情だが、災害時に広域的な支え合いがなければ、被災地にいくら『頑張れ』といっても本心が疑われてしまう」と述べた。

 的場輝夫議長は取材に「原発立地の町として常識的な判断だ」と述べ、受け入れを支持する姿勢を示した。

 町民からは「高浜町原発立地自治体であり、検査で問題が無いなら受け入れてもいいと思う」=自営業男性(50)=と肯定的な意見が聞かれる一方、「学校給食で放射性物質が検出されたといったニュースを見聞きすると、受け入れにやはり健康への不安がある。現時点では賛成とも反対ともいえない」=団体職員女性(50)=と戸惑う声もあった。

 県循環社会推進課は「東京都は放射線量の測定や試験焼却、運搬面など相当の態勢を取っている。受け入れるなら住民に不安が生じないようにする必要がある」としている。

福井新聞 (2011年12月9日午前7時27分)
http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/earthquake/31932.html