(兵庫県)海に埋め立て、汚染の恐れ がれき受け入れ難色 

 東日本大震災のがれきを全国で分担処理する環境省の計画について、兵庫県内で受け入れが進まないのは、がれきの焼却灰を安全に海に埋め立てる方法が確立されていないためであることが29日、分かった。県内の多くの市町は「大阪湾フェニックス計画」に参加し、廃棄物を神戸沖に埋め立てているが、同省は焼却灰が水と接触しないよう指示。県は「市民感情に加え、埋め立ての安全性の問題が受け入れを妨げている」とし、同省に対策を求めている。(災害特報班・上田勇紀)

 東日本大震災で発生したがれきのうち、環境省は岩手、宮城県分について全国の自治体に受け入れを求めている。東京都は11月2日、岩手県宮古市からがれきの搬入を始め、初の本格的な分担処理として注目された。しかし、放射性物質への懸念から全国的な広まりは見られず、兵庫県内の全市町も受け入れ困難との姿勢を示している。

 市民感情に加え、ネックとなっているのはがれきの焼却灰の埋め立て方法。フェニックス計画により、兵庫県内34市町の廃棄物は陸地の基地から船で運ばれ、神戸沖の処分場に埋め立てられる。海中に放り込むため、がれきを受け入れると水との接触は避けられない。東京都の場合、処分場は陸地化され、水との接触の懸念はないという。

 同省はがれきの焼却灰に含まれる放射性物質の濃度などを調べ、分担処理の安全性を強調する。だが埋め立て方法については、放射性セシウムが水に溶けやすいため、「焼却灰と水がなるべく接触しないように水がたまりやすい場所での埋め立ては行わないなどの対策を」とガイドラインに明記。可燃ごみの焼却灰の全量を神戸沖に埋め立ている神戸市は「何とかしてあげたいと思うが、受け入れてもがれきの焼却灰の持って行き場がない」と困惑を隠さない。

 大阪湾広域臨海環境整備センターによると、そもそも放射性物質に関する廃棄物の受け入れ基準がない。兵庫県は8月以降、対策を示すよう同省に求めているが、明確な返答は得られないまま。同省廃棄物対策課は「海面埋め立ての場合、放射性物質を砂に付着させるなど、排水処理が必要になる可能性がある。設備や装置など、受け入れ先に新たな負担をかけることになるので、方法については個別に検討していきたい」としている。

神戸新聞 (2011/11/30 07:38)
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0004651036.shtml