(愛知県)がれき受け入れ問題白紙に

 東日本大震災で発生した岩手、 宮城両県のがれき処理について、 「処理できる余力はある」 と表明した豊橋市が、 慎重な対応に変わった。 がれきに含まれる放射線が心配されるとの意見が、 市民から寄せられているからだ。

 国は再び受け入れ余力の調査を行っているが、 同市担当課は 「余力の問題ではない。 懸念される問題を県に示していく」 として、 余力の有無について 「白紙」 報告をする方針を固めた。

 同市は4月上旬、 環境省が行った震災がれきを処理する余力の調査に対し、 同市資源化センター (豊栄町) の可燃ごみ焼却能力に年間1万トンの余力があると報告。 受け入れ可否を記入する項目はなかったという。 担当者は 「調査は4月上旬で、 被災地支援のためならという思いが強かった」 と当時の状況を説明する。

 雲行きが変わったのは夏ごろ。 京都の大文字の送り火に使う予定だった被災地の松の木から放射線が検出された問題や、 日進市の被災地生産の花火打ち上げ問題などに注目が集まってから。 市には8月以降電話で10件以上の意見が寄せられている。

 電話の主は女性が多く、 「がれきの受け入れで放射性物質が広まるのでは」 といった意見や 「子どもへの影響が心配」 という母親からの意見がほとんど。

 この状況を踏まえ、 同市では、 13日に環境省から依頼のあった2回目の調査について、 余力の有無は白紙にして、 懸念される問題を提示する方針。 担当者は 「市民の安全を担保、 確認できないかぎり、 具体的な (余力) 数値を出さない」 と4月当初より慎重な姿勢を示している。

 調査報告の期限は21日だが、 担当者は問題を挙げるためには日数が足りないとして、 提出を遅らせることも示唆した。(斉藤理)

東日新聞 2011.10.19
http://www.tonichi.net/news.php?mode=view&id=37986&categoryid=1