(新潟県)汚染廃棄物、国処理の基準案示す「対処は自治体内で」

 環境省は12日までに、東京電力福島第1原発事故で放射性物質に汚染された廃棄物のうち、放射性セシウム濃度が1キログラム当たり8千ベクレルを超える焼却灰や汚泥などを「指定廃棄物」と定め、国が処理する基準案を示した。11月に正式決定する見通し。新潟市長岡市など24市町村でつくる原子力安全対策研究会が主催する同日の「浄水場汚泥」をテーマにした分科会で、同省廃棄物対策課の山本昌宏課長が述べた。

 ただ、山本課長は国が処理する場合にも「新たに別の土地に施設を用意し、持っていくことは現実的にはできない」と指摘。「自治体や民間業者が持つ既存の最終処分場で対処してもらうことになる」とし、放射性レベルに関係なく排出された都道府県内での処理を明言した。

 来年1月に全面施行される放射性物質汚染対処特別措置法は、汚染が一定の基準を超えるものを指定廃棄物として国が処理するよう定めている。同省はこれまでに、8千ベクレル以下の放射性セシウムを含む焼却灰などは通常の処理が可能などとする方針を決定していた。だが、国が責任を負う放射性レベルの基準については定めていなかった。

 山本課長はこの日、新潟市で開かれた分科会で、10日の環境省有識者検討会で「指定基準案が了承された」と報告。8千ベクレルを下回る場合は、廃棄物処理法に基づいて一般廃棄物は市町村、汚泥などは産廃として水道局などの排出事業者が責任を負うものとした。

 9月9日時点で、福島など5県26カ所の浄水場で8千ベクレルを超える放射性セシウムを含む汚泥が検出され、県内も新潟市など3カ所で927トンが出ている。

 分科会で新潟市関係者は、8千ベクレル以下であっても受け入れ先の確保は住民の反対で難しいとして「受け入れを義務化できないのか」と詰め寄った。これに対し、山本課長は「特措法ができても法的な受け入れ義務はない」とし、「8千ベクレル以下なら受け入れる産廃事業者はある。域外の業者の情報提供や仲介など、国もできることを考えたい」と述べた。

 分科会は新潟市で開かれ、県と22市町村の職員120人が参加した。

新潟日報2011年10月13日
http://www.niigata-nippo.co.jp/news/pref/28039.html