(長野)県内目立つ慎重対応 震災廃棄物受け入れ

 県は12日、東日本大震災の災害廃棄物受け入れについて県内の受け入れ可否を調べるため、全市町村やごみ処理施設を運営する一部事務組合などに対し、検討状況を20日をめどに回答するよう依頼した。4月に続く調査だが、国が8月に公表した「広域処理推進ガイドライン」を踏まえ、放射性物質に汚染された廃棄物を受け入れ対象とした点が前回と異なり、市町村側には警戒感が強い。取材に対し、ガイドライン公表前に受け入れ意向を示した6施設すべてが「未定」とした。

 県廃棄物対策課によると、放射性物質に汚染された廃棄物を前提としない4月の調査に対し、長野市、松本西部広域施設組合、諏訪南行政事務組合、南諏(なんす)衛生施設組合、木曽広域連合、白馬山麓環境施設組合、北信保健衛生施設組合、岳北広域行政組合の計8施設が「生活ごみに限る」といった条件を付けるなどして受け入れを表明した。

 その後、管理型処分場での埋め立て可能とした焼却灰で放射性セシウム濃度が1キロ当たり8千ベクレル以下を受け入れの目安とするよう求めた国のガイドライン公表で放射能汚染の可能性のある廃棄物の受け入れが現実味を帯び、9月末に白馬山麓環境施設組合、今月11日には木曽広域連合が受け入れを断念した。

 12日の取材に対し、白馬、木曽を除く6施設は今後検討する―などとしてすべて「未定」と回答。当初、生ごみなどの生活ごみに限り焼却処理の受け入れが可能としていた松本西部広域施設組合は、受け入れ条件に「放射性セシウムが検出されたごみは受け入れない」ともしており、「条件に合わない。できる範囲で協力したい気持ちはあるが、住民の放射能へ不安を考えると厳しい」としている。

 焼却、破砕処理と焼却灰の自前の処分場への埋め立てを想定していた長野市は「焼却で放射性物質が濃縮された焼却灰の埋め立てに住民の理解を得るのは大変。慎重に対応せざるを得ない」としている。

信濃毎日新聞 10月13日(木)
http://www.shinmai.co.jp/news/20111013/KT111012ATI090012000.html