セメント各社、「震災がれき」受け入れ本格化 焼成用燃料などに活用

 東日本大震災で発生した大量のがれきを、セメント各社が原燃料として活用する取り組みを加速する。三菱マテリアルは11日から、岩手工場(岩手県一関市)で木質チップに加工したがれきの受け入れを開始した。震災で発生したがれきを、セメント原料の石灰石や粘土を焼成する際の燃料として活用する初の試みだ。ただ、津波をかぶったり、重金属を含むがれきは釜を損傷する恐れがあるなど課題も多い。

 三菱マテリアルの岩手工場では、地震で倒壊した内陸部の家屋の廃材を受け入れることで早急に焼却処分を進める。津波をかぶったがれきは塩分を含むため、洗浄作業をしないと、鉄筋コンクリートに使われることが多いセメントの原料にすることはできないためだ。同県釜石市から、1日約20トンを受け入れる方針だ。ただ、来年1月には、重金属などを除去する選別機を設置し、廃プラスチックなども受け入れていく。

 一方、外部機関に委託し、塩分や重金属を取り除いたがれきを受け入れるのは太平洋セメントだ。同社は6月下旬から、被災した大船渡工場(同県大船渡市)で、1日約300トンのがれきの焼却処分を続けている。11月上旬の生産再開後は、セメント原料として使う計画だ。

 県境を越えたがれき処理の支援を検討している企業もある。住友大阪セメント傘下の八戸工場(青森県八戸市)はがれきの受け入れに向け、岩手県内の自治体と調整中だ。

 環境省の推計によると、岩手、宮城、福島の3県の沿岸部で発生したがれきは約2272万トン。ほとんどは「仮置き場」に積み上がったままだ。がれき処理に関する国の方針が定まらない中、まずは民間企業ができる範囲で走り出した格好だ。

フジサンケイ ビジネスアイ 10月13日(木)8時15分配信
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