中間貯蔵施設8都県に 汚染土壌・焼却灰 環境省要請へ

 環境省の南川秀樹事務次官は28日、福島県郡山市内で記者会見し、東京電力福島第一原発事故で飛散した放射性物質を含む土壌や下水汚泥、焼却灰の処理について、中間貯蔵施設を福島県だけでなく東京都や宮城県など関東・東北8都県に設置し、各都県が地元で保管する考えを明らかにした。除染で除去する土壌が大量となる福島県については容積9千万立方メートル規模の施設が必要と述べた。

 南川次官はこの日、福島県内で東日本大震災で出た災害廃棄物の処理状況を視察した。

 その後の会見で、比較的高濃度の放射性物質を検出した下水汚泥やごみの焼却灰が、行き場がないまま仮置き状態になっている問題に触れて、「(放射能を帯びた廃棄物の処理は)福島県だけの問題ではなく県ごとの対応が必要」と述べ、福島と東京、千葉、茨城、栃木、群馬、宮城、岩手の8都県にそれぞれ設置する考えを示した。

 今後、各都県に正式に設置を要請するといい、「事故に責任のない福島県へ他県のものを持ってくる考えはない」と明言した。

 放射性物質を帯びた廃棄物をめぐっては、首都圏の自治体などと焼却灰の受け入れ契約を結んでいる秋田県小坂町の民間最終処分場に今夏、千葉県松戸市から高いレベルの放射性セシウムを帯びた焼却灰が連絡のないまま持ち込まれたことが発覚。首都圏の自治体から同町内への運搬を拒否される問題も起き、焼却灰が行き場を失っている現状を浮き彫りにした。

 また、国が福島県に設置を要望している中間貯蔵施設の規模について、「多めに見積もって幅3キロ、奥行き3キロ、深さ10メートル」と述べ、9千万立方メートルの容積が必要との目安を示した。

 27日に開いた有識者による「環境回復(除染)検討会」で同省は、除染によって除去した土壌などの量について、推定約2900万立方メートルとの試算を出しているが、南川次官は「コンクリート壁で囲った区画ごとに覆土したり、除染で生じた土壌以外に入れるものもある」などとし、この規模が確保できなければ、施設は複数設けることになるとの見通しを示した。

 さらに設置場所は未定としたものの、「中間貯蔵施設の工事が始まれば、仮置き場から何年で(汚染土壌などが)出せると分かるので除染も進む」と述べ、福島第一原発の敷地への建設は「冷温停止以降もいろいろな作業があり、何年先に造れるか分からないので賛成しない」との考えを示した。(森治文)

asahi.com 2011年9月29日1時0分
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201109280551.html