(栃木県)汚染灰に住民「ノー」 処分場巡り苦慮

  大田原市若草1丁目のごみ焼却施設「広域クリーンセンター大田原」で、集じん器などについた飛灰の搬出ができずに苦慮している。灰から放射性セシウムが検出されたことを受けて、埋め立て処理をする最終処分場周辺の自治会が受け入れに反対しているためだ。保管中の飛灰は260トン以上。このままではごみ処理停止の恐れもあるという。

 同センターからの灰は、主灰と飛灰があり、いずれも同市川田の最終処分場「黒羽グリーンオアシス」で埋め立て処理されていた。しかし、飛灰は6月29日から、主灰も8月19日から処理ができない状況だ。

 施設を運営する那須地区広域行政事務組合(那須塩原市大田原市那須町で構成)によると、同センターでは大田原市那須町の家庭などから出されたごみを処理している。昨年度は可燃ごみで計約3万223トンを処理した。

 灰の放射能汚染が表面化したのは7月。飛灰から国の暫定基準(1キロあたり8千ベクレル)を超える1万3580ベクレルの放射性セシウムが検出された。搬入された庭木や草などに含まれていたとみられている。8月4日の採取分は9200ベクレル、同18日採取分は7640ベクレルまで下がり、現在は基準を下回っている。

 主灰はこれまでの検査でいずれも基準を下回り、茨城県の民間処分場に委託しているが、飛灰はセンターなどの敷地で保管中。8千ベクレルを超えるものが約184トン、8千ベクレル以下が約76トンの計約260トン。1日あたり平均で約4トンがたまっていく。

 住民説明会はこれまでに2回開催されたが、自治会総会で飛灰と主灰いずれも埋め立て反対が決まった。関係者は取材に対し、「事前説明など組合の対応が遅い。7640ベクレルも、8千ベクレルも変わらない。国の基準値は信用できない。健康への影響を考えれば持ち込みに反対だ」と話す。

 こうした事態に対応するため、組合は、道路や公園などを管理する行政機関に対し、枝や草、落ち葉の焼却を制限、センターへの搬入自粛を要請した。

 組合では21日にも住民説明会を開催。国の方針に従って処理するなど安全性を強調し、処分への理解を求める方針だ。組合では「灰の保管を続けるのは物理的に限界。場合によっては焼却炉の停止も懸念される」としている。(人見正秋)

asahi.com 2011年09月17日
http://mytown.asahi.com/tochigi/news.php?k_id=09000001109170003