高性能施設、海上運搬でがれき処理4か月以上短縮

石巻など3市町 
 石巻東松島、女川3市町のがれき処理事業で、県は14日、大手ゼネコン「鹿島」を中心とする共同企業体(JV)が実施する処理事業の計画内容を公表した。高性能の焼却・破砕施設やがれきの海上運搬などの工夫で、県が3年としていた工期を4か月以上短縮。1日平均1250人を県内から雇用し、地元で資材を調達することなどで、県内経済への波及効果は最大3282億円に上るとしている。

 同JVが処理するのは、3市町で出た廃棄物685万トンと土砂200万立方メートル。高性能の破砕機5台を使い、1日9600トンを破砕処理。5基の焼却炉で1日1500トン処理する。破砕処理の過程で出た木くずはバイオマス発電に使うなど環境面も配慮する。

 1次仮置き場からの運搬は、トラックのほかに、道路が大きな損傷を受けた北上・雄勝地区などからは船を使って運び出す。

 これらの工夫で、県が2014年3月までに終了させるとしていた工期を、4か月半短縮して13年11月中旬までに終了できるという。

 地域経済への波及効果については、1日平均420台使うダンプや、150台使う重機を地元企業から調達。処理場での手作業での分別などに1日平均計1250人を地元で雇用する。

 今回のがれき処理事業の入札には、プロポーザル方式(技術提案型)が導入され、鹿島JVと大成建設を中心とするJVが参加。県によると、大成建設JVの計画では、地元で約2450人を雇用するとし、地域経済への貢献では評価が高かったが、鹿島JVの計画での工期短縮や環境配慮などの点で評価が上回った。

 県は14日、県議会最大会派の自民党・県民会議に対し、事業概要を説明。議員から「地元雇用を重視すべきではなかったか」「地域の賃金の水準と乖離(かいり)すると、がれき処理だけに労働力が偏る懸念がある」などの指摘があった。

(2011年9月15日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/miyagi/news/20110915-OYT8T00098.htm?from=popin