(栃木)県有地に汚泥保管検討 あす震災から半年 知事「県民の健康対策重視」

 東日本大震災から11日で半年を迎えるのを前に、県災害対策本部会議が9日開かれ、本部長の福田富一知事は放射性物質を含む下水汚泥や溶融スラグなどの処理について、一時保管場所を早急に検討するよう指示した。知事は会議後、記者団に「処理方針を示すよう国に求めているが、県独自でも並行して考える」と述べ、保管先として県有地や県有林などを検討する考えを示した。また、今後の重点課題として、放射線への不安を踏まえた「県民の健康対策」に取り組む考えを示した。

 取材に対し、福田知事は「(放射性物質に汚染された)稲わらは国の処理方針が決まったが、下水汚泥や腐葉土の処理などが課題だ」と指摘。「国が国有林を一時保管所として超法規的な措置を取るなら、県も地元の理解を得ながら考えることは理論上ある」と述べ、県有地などを保管場所として検討する考えを示した。

 下水汚泥をめぐっては、宇都宮市の県下水道資源化工場で処理した溶融スラグを同工場内で保管していたが、8月に満杯となった。県は県内6カ所の下水道処理施設を汚染されたスラグの仮置き場にする方針を決め、一部搬入を始めたものの、その後の方針は決まっておらず、日々発生する汚泥への対応が焦点となっている。

 一方、震災半年で福田知事は「目まぐるしい対応を迫られたが、おおむね順調にきている」と述べ、道路復旧などは本年度中にほぼ完了するとの見通しを示した。

 今後の課題としては「隣県の福島では健康調査を行うなどしている。県民の不安にどう対応するかだ」と指摘。放射性物質による健康面への影響把握などを重視して対応していくことを明らかにした。

下野新聞(9月10日 朝刊)
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/local/news/20110909/606827