放射能汚染ごみの処分について(問題点と疑問)

放射能は焼いても無くなりません。
減っていくまで待つしかないのですが、それには、数十年・百年と、とても長い時間がかかります。
ですから、原子力発電所では、放射能に汚染された廃棄物はドラム缶に入れたり固化したりしてから、放射能の濃度に合わせた場所に埋め立てる…といったふうに、厳重に取り扱われてきました。

しかし、環境省放射能汚染された廃棄物について、

■バグフィルターか排ガス吸着能力があればどこの焼却炉で燃やしてもよい。
※「排ガス処理装置としてバグフィルター及び排ガス吸着能力を有している施設では焼却可能である」

■8000ベクレル/kg以下であれば、どこの一般廃棄物最終処分場(管理型最終処分場)でもそのまま埋め立ててもよい。
※放射性セシウム134・137の合算。8000から100000ベクレル/kg以下の場合は固化などの対策をとって埋め立てる。それ以上は検討中。

という方針を示してしまいました。
これで本当に安全に処分できるのでしょうか?


【燃やすことについての問題点】

バグフィルターの放射性物質吸効果について、科学的に十分な検証が行われていないとの指摘があります。
実際、放射性物質が大気に放出されている可能性が高い」と住民に稼働停止を求められた東京都の汚泥処理施設にも、バグフィルターは付いていました。

焼却処分をすると、放射性物質が濃縮された灰が残ります。その濃縮率は環境省によると33.3倍で、単純に計算すると100ベクレルでも×33.3倍で3330ベクレル/kgになります。


【埋め立てることについての疑問】

今 問題になってるセシウム137は半減期が30年なので、最低でも30年、放射能濃度によってはもっと長い間 漏れないように管理し続ける必要があります。
たびたび汚水漏れ事故が起きている一般廃棄物最終処分場で、それが可能なのでしょうか?

また、処分した場所が増えればそれだけ管理の手間が増えてしまいます。

【その他、運搬についての疑問…近寄るだけでも被曝する】

これは、秋田県に運び込まれた汚染焼却灰入りのコンテナについての情報です。

(秋田県)県外のごみ焼却施設から排出された焼却灰について〜 第4報 〜

コンテナからの距離1m地点で、0.3から0.35μSv/hです。(通常は0.022〜0.086μSv/h)

運搬に係わる作業員の方の安全はどのように確保されるのでしょうか?
車で運搬するなら、運搬中に一般市民・特に子どもたちが被曝しないように配慮されるのでしょうか?
運搬に使った車両などが汚染されることも考えられます。それらはどのように処分されるのでしょうか?


いらなくなった“物”は“ごみ”になりますから、ごみの放射能汚染は逃れることのできない問題です。

二次汚染を避け、不要な被曝を避けるためにも、対策をとって安全に処分されることを望みます。

がれきの広域処理も、除染によって出たごみも、安全に処分されてこそです。


≪参考資料≫

・福島県内の災害廃棄物の処理の方針(環境省)

・一般廃棄物焼却施設における焼却灰の測定及び当面の取扱いについて(環境省)

・「第一回災害廃棄物安全評価検討会」資料について(環境省)

・どうなる放射能汚染物の処理【4】“原発並み”の放射能抱える東京の下水道施設(ECO JAPANリポート 2011/8/2)

・都の汚泥処理施設 付近の土から放射性物質(東京新聞)

・東京都下水道局 東部スラッジプラント(東京都)

・災害廃棄物の広域処理の推進について(環境省)

・産廃処分場を作る側の論理3(元プレジデント編集長の田舎暮らし奮闘記 2008/1/24)

※こちらは有志で作成した文章です。

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