(神奈川)放射性物質検出の焼却灰保管で県がテントハウス建設へ、地元は「分散を」/茅ケ崎

 東京電力福島第1原発事故後、汚泥を燃やした焼却灰から放射性物質が検出された下水処理施設「相模川流域下水道左岸処理場」(茅ケ崎市柳島)で、敷地内から焼却灰を運び出せない状況が長期化している。安全に保管するため、管理者である県は本年度中に敷地内にテントハウスを建設する。同施設は主に県内6市1町の汚水を処理しており、地元からは分散保管などを求める声も出ている。

■年度内に

 テントハウスは太陽光や潮風によるシートの劣化などを防ぐため、年度内に敷地西側と南側に計5棟建設する。現状は焼却灰を袋に詰めた上で敷地内の道路にブルーシートをかぶせて保管している。建設費約1億4千万円は、相模川流域下水道を利用する9市3町が積み立てている予備費で賄う。

 汚泥は処理場内の焼却炉で燃やされ、1日当たり約9トンの灰が出される。従来はセメントの原料として処理業者が有料で引き取っていたが、放射性物質が検出されてから引き取られなくなり、8日時点で約2757トン(2891袋)が屋外に積み上がっている(一部は試験的に搬出)。

■数値は低下

 焼却灰の測定値は、5月30日に放射性セシウムが1キロ当たり約4400ベクレル検出されたが、11月28日は742ベクレルまで下がっている。

 大気中の放射線量は5月から茅ケ崎市内のモニタリングポストと同等の数値で推移。5日に記者も立ち会った測定で、搬出されたばかりの袋から2〜3メートル、高さ約1メートルの数値も同等だった。

■負担共有を

 9月20日、服部信明茅ケ崎市長は黒岩祐治知事宛てに焼却灰を敷地外で保管することを求める要望書を提出した。地元自治会も11月10日、処理場を利用する流域市町での「分散保管」を求める要望書を提出。「なぜ地元だけが、との思いが大変強い」と記し、負担の共有を訴えている。

 先行して建設するテントハウス3棟は、現在の保管分でいっぱいになる。残り2棟の容量も限られるため、分散保管や受け入れ先の確保が急務となっている。 

2011年12月10日 カナロコ
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1112100013/