東日本大震災:横浜の汚泥焼却灰搬出ストップ半年 増え続け5500トン

 ◇「パンクでライフライン止まる」

 放射性物質を含む汚泥焼却灰の問題で、横浜市の処理施設からセメント業者への搬出が止まって間もなく半年となる。最終埋め立て処分は住民らへの説明不足で凍結。仮置きの焼却灰は市内2施設で5500トンを超え、今も増え続けている。市は保管スペース確保と埋め立て計画の説明に追われ、問題解決の糸口は見いだせていない。【杉埜水脈】

 今月初め、横浜市南部の湾岸工業地帯にある南部汚泥資源化センター(金沢区幸浦)敷地内に入った。市内の焼却灰の7割以上の約4000トンがここに保管されている。

 市内の下水処理場で毎日発生する汚泥約1万6000立方メートルは南北二つのセンターに等分されて処理される。南部センターは焼却灰をセメント業者に引き渡していたが、5月中旬の放射性物質の検出で業者が回収を停止すると、全量がたまり始めた。

 「あまり近寄らないで」。焼却灰の袋詰め作業の撮影で職員から注意を受けた。搬出が止まってから、作業員が手で500キロずつ袋詰めする作業が続いている。焼却灰は粒子が細かく粉じんが舞い、マスクの大切さが身にしみた。5月以降、作業員は特殊フィルターマスクに替えたという。

 敷地内にはビニールシートに覆われた焼却灰の袋の山が続く。南部センターだけで1日20トン増えていくといい、遠くの出来事と思っていた原発事故の影響が間近に迫る不気味さを感じた。

 広いようで敷地には限りがある。市はスペース確保のためコンテナの導入も検討しているが、高橋義吉センター長は保管期限の話になると表情を曇らせた。「ここがパンクすれば下水処理施設が止まり、ライフラインが止まる。もともとは家庭からの排水。身近な問題として考えてほしい」と最終処分法の決定を待ちわびる。

 南部センターの焼却灰から測定される放射性セシウムは5月、1キロ当たり5000ベクレルを超えたが、10月末に2000ベクレルを下回るようになった。セメント業者は300ベクレルを下回れば受け入れ検討を始める見込みだが、まだ時間がかかる。

 汚泥を受け入れるセメント業者は「セメント利用者と自治体の間で板挟み。利用者には安全と説明し、社会的要請が強い焼却灰受け入れをお願いしていきたい」と話した。

2011年11月16日 毎日.jp
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/news/20111116mog00m040024000c.html