災害廃棄物の広域処理の推進に係るガイドラインに関するQ&A

 愛知県知事からの質問状に一部ですが答える形のQ&Aです。

http://www.env.go.jp/jishin/attach/memo20111011_shori-qa.pdf

以下、転載

災害廃棄物の広域処理の推進に係るガイドラインに関するQ&A

Q1:広域処理が可能な災害廃棄物(可燃物)の放射性セシウム濃度を具体的な数字でもって示してほしい。

A:1.可燃物を広域処理する場合には、受入側での災害廃棄物の焼却処理による焼却灰の放射性セシウム濃度が8,000Bq/kg以下となるよう配慮することが必要です。災害廃棄物に放射性セシウムが含まれる場合、焼却により発生する主灰及び飛灰両方に含まれることになりますが、一般的に飛灰に含まれる放射性セシウム濃度のほうが高くなります。ここでは、より安全側で評価するため、災害廃棄物のみを焼却し、これに含まれる放射性セシウムがすべて飛灰に移行するものとして考え方を示します。なお、放射性セシウムの濃縮率は焼却炉の燃焼形式により異なります。

2.ストーカ式の焼却炉で焼却する場合、飛灰への濃縮率は最大でも33.3倍程度ですので、災害廃棄物の平均濃度が約240Bq/kg以下であれば、飛灰の濃度が8,000Bq/kgを超えることはなく、受入側に負担をかけることなく一般廃棄物最終処分場(管理型最終処分場)での埋立処分が可能です。ちなみに、岩手県内の災害廃棄物の放射性セシウム濃度測定結果(宮古市陸前高田市等の6地域)によれば、放射能濃度は46〜104Bq/kgであり、この安全側に立った240Bq/kgという目安と比較しても半分以下の低い値となっています(ガイドライン別添1参照)。

3.流動床式の焼却炉で焼却する場合は、飛灰への濃縮率は最大でも16.7倍程度ですので、災害廃棄物の平均濃度が約480Bq/kg以下であれば、受入側の自治体に負担をかけることなく埋立処分が可能です。なお、宮古市の災害廃棄物について、流動床式の焼却炉で実際に焼却した実証試験結果によれば、災害廃棄物を混焼することによる焼却灰の放射能濃度上昇は認められず、焼却灰の放射能濃度も8,000Bq/kgより大幅に低い133Bq/kgとなっています(ガイドラインP.5表7参照)。

4.これらの計算は、上記の通り、安全側での評価をするため、災害廃棄物のみを焼却した場合を想定していますが、実際には他の廃棄物と混焼しますので、より高い濃度のものでも広域処理が可能です。その場合の具体的な濃度の限度は、混焼割合、他の廃棄物に含まれる放射性セシウム濃度によって異なりますので、一律に定めることは困難であり、受入側の焼却施設の状況に応じて設定することとなります。

Q2:焼却しない不燃物の場合についても、広域処理が可能な放射性セシウム濃度を具体的に示してほしい。

A:不燃物を埋立処分する場合には、8,000Bq/kg以下の災害廃棄物であれば、焼却灰と同様に管理型最終処分場に埋め立てることができ、受入側に負担をかけることなく処分が可能です。

Q3:ガイドラインには「バックグラウンドの空間線量率より有意に高くなることがないことを確認」と書かれているが、有意に高くなることがないとは、どのような状態か。

A:1.バックグラウンドの空間線量率は、測定ポイントが少し移動しただけである程度変動するものです。したがって、仮置場に置かれた災害廃棄物が汚染されていなくとも、仮置場の周辺での空間線量率が場所によって変動することがあります。

2.このようなことを踏まえ、まず、バックグラウンドの空間線量率を把握するため、仮置場から十分に(数10m以上)離れた場所において少なくとも4〜5カ所程度のポイントで空間線量率を測定し、それらのポイントにおける空間線量率の範囲を把握します。

3.災害廃棄物から1m程度離れた場所での空間線量率が2.の範囲を大きく超えることがなければ、有意に高いわけではないと考えることができます。なお、国土交通省IAEAガイドラインを参考に定めた「港湾における輸出コンテナの放射線測定のためのガイドライン」によれば、汚染を検出するための判断基準として、バックグラウンド値の3倍値としていますので、評価の参考になるものと考えます(ガイドラインP.9注釈)。

Q4:8,000Bq/kg以下の焼却灰を安全に処分できるということについて、根拠を示してほしい。

A:1.環境省では、放射性物質により汚染されたおそれのある廃棄物を安全に処分するため、「災害廃棄物安全評価検討会」を開催し、適切な処分方法の検討を進めてきています。

2.また、検討に当たっては、原子力安全委員会が6月3日に定めた「東京電力
株式会社福島第一原子力発電所事故の影響を受けた廃棄物の処理処分等に関する安全確保の当面の考え方」に示された次の目安を満足するよう適切な処理方法を検討しました。
① 処理に伴って周辺住民の受ける線量が1mSv/年(公衆被ばくの線量限度)を超えないようにする。
② 処理を行う作業者が受ける線量についても可能な限り1mSv/年(公衆被ばくの線量限度)を超えないことが望ましい。比較的高い放射能濃度の物を取り扱う工程では、「電離放射線障害防止規則」(昭和47年労働省令第41号)を遵守する等により、適切に作業者の受ける放射線の量の管理を行う。
③ 処分施設の管理期間終了以後、周辺住民の受ける線量が10μSv/年以下(クリアランスレベルの設定に用いた基準)とする。

3.8,000 Bq/kgの焼却灰を埋立処分する場合、周辺住民よりも被ばくしやすい作業者であっても、その被ばく線量は原子力安全委員会の目安である1mSv/年を下回ることが計算により確認されました(0.78mSv/年)。なお、作業者は、1日8時間、年間250日の労働時間のうち半分の時間を焼却灰のそばで作業すること(合計1,000時間/年)、1日の作業の終了時の覆土である即日覆土を行わず、中間覆土のみ行うことを仮定して計算されています。

4.また、埋立終了後は、最終処分場の跡地で居住しないなどの利用制限を設ければ、原子力安全委員会による処分施設の管理期間終了以後の被ばくの目安である10μSv/年以下とすることができます。

5.このように8,000 Bq/kg以下の焼却灰については、周辺住民、作業者のいずれにとっても安全に埋立処分することができます。

あまり答えになっていないように思います。残念です。