東日本大震災:知事「がれき受け入れを」 県内に再検討呼びかけ /静岡

 ◇岩手の山田・大槌で発生 「処理能力の1%で」

 東日本大震災による津波被害を受けた岩手県山田、大槌両町で発生したがれきを巡り、川勝平太知事は可燃性廃棄物の処理を受け入れるよう県内に呼びかけている。被災地のがれきを巡っては県内で焼却処理施設を運営する全31市町、事務組合が、国の調査に放射性物質混入の不安を理由に受け入れはしないと回答。川勝知事は「処理能力の1%で受け入れを」と再検討を働きかけていく考えだ。

 震災後の全国知事会で、静岡県は被災地のうち岩手県への支援を担当することになり、同県からの要請で山田、大槌両町に職員を派遣し、復旧や行政サービスを手伝ってきた。9月末で両町への職員派遣は終了したが、川勝知事はがれきの処理に悩む両町のため、「引き続き支援していきたい」と可燃性のがれき処理を受け入れる意向を示したという。

 一方、被災地の廃棄物の広域処理が進まないことを受け、環境省は今月初め、全国の自治体に受け入れ可能かどうかの調査を実施。県内で可能と回答したところはなかった。県廃棄物リサイクル課によると、多くが「放射性物質への不安で、住民の理解が得られない」との理由で受け入れを見送っているという。

 同省が今年4月に実施した同様の調査では、42都道府県、572市町村などが受け入れを表明し、県内でも複数の自治体などが可能としていた。当時は東京電力福島第1原発事故による放射性物質の拡散は知られていなかったが、その後、各地で埋め立て処理ができない国の基準値8000ベクレルを超える放射性セシウムが焼却灰から検出された。「どのようなごみを燃やすと基準値を超えるのかなど、分からないことが多く慎重にならざるを得ない」(浜松市)など、受け入れ辞退に転じる自治体が増えた。

 4月調査時点で県内での受け入れ可能な廃棄物の量は約6万トン。県はそのうちの1%にあたる600トンを受け入れる案を提示し、改めて各自治体などに意向調査を進める。

 9月の台風15号などで出たがれきの処理で受け入れる余裕がなくなった自治体もあるとみられ、県廃棄物リサイクル課は「最新の受け入れ可能状況も調査し、1%なら受け入れられるかどうか聞いていきたい」と話している。【仲田力行】

毎日新聞 2011年10月28日 地方版
http://mainichi.jp/area/shizuoka/news/20111028ddlk22040202000c.html