「がれき受け入れ困難」兵庫県内すべての市町回答

 東日本大震災で出たがれきの分担処理をめぐり、環境省が現在行っている調査に対し、兵庫県内のすべての市町(一部事務組合含む)が、「受け入れ困難」と回答する方針であることが25日、分かった。同省が4月に行った調査では大半の市町・組合が受け入れ可能との認識を示していたが、放射性物質への懸念などで一転。受け入れを表明している自治体は全国でもごくわずかで、安全性確保を求める声が高まっている。

 岩手、宮城、福島の3県で発生したがれきは推計2300万トンと膨大。環境省は岩手、宮城県分を全国で分担して処理する方針で、東京都と岩手県が9月末に処理協定を結んだことを皮切りに全国で進めたい考え。

 調査は今月28日を締め切りとし、沖縄県を除く全国の自治体に対し、既にがれきの受け入れを実施している▽被災地への職員派遣など具体的な検討を行っている▽受け入れに向けた検討を行っている‐の3択で尋ねた。

 兵庫県によると、ごみ処理ができる21市6町11組合のうち神戸市を除いてすべて回答。3択のいずれかに当てはまると答えた市町・組合はなかった。神戸市は取材に対し「現段階で受け入れ検討はしていない」と答えた。

 4月の調査では、21市4町4組合が、年間計15万トンの可燃がれきを受け入れ可能などと答えていたが、市民の反対などもあり軒並み方針を撤回。尼崎市は「処理施設に放射性物質がどのようにたまるかなど詳細が分からないと市民に説明できない」。西宮市も「市民生活に影響が出る可能性があり、検討できる段階にない」とする。

 環境省廃棄物対策課は「調査結果については途中で答えられない。がれきが取り除かれないと復興は進まないので、全国から善意の申し出を待ちたい」とする。だが、東京都のほか、受け入れを表明しているのは山形県など数えるほど。兵庫県環境整備課は「焼却施設への影響など不明な点が多く、国は説明不足だ。もっと丁寧に安全性が証明されれば、検討の余地はあるはず」としている。

上田勇紀)

神戸新聞 2011/10/26 09:03
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0004574244.shtml