放射性物質、スギは上部の葉に付着 森林内の分布調査

 文部科学省は13日、福島第1原子力発電所事故による放射性物質が森林でどのように分布しているかの調査結果をまとめた。スギなどの針葉樹林では木の上部の葉に放射性物質が多く付着しており、雨で徐々に地表へ落ちていることがわかった。森林区域や隣接する住宅地などの放射線量を下げる除染に役立てる。

 調査は6〜8月に、計画的避難区域に指定されている福島県川俣町の3カ所の森林で実施。葉に付着した放射性物質や、森の中に降った雨水に含まれる放射性物質などを測った。

 事故発生直後の3月にまだ葉をつけていなかった広葉樹林では、放射性物質はほとんどが地表の落ち葉などに付着していた。一方、3月でも葉をつけていた若いスギの林では、木の上部の葉に付着した放射性物質の濃度が地表付近とほぼ同程度だった。

 また、森の中で採取した雨水には放射性セシウム137が1リットルあたり43〜134ベクレルと、森の外の雨水に比べて約100〜300倍含まれていた。葉に付着した放射性物質が雨水に吸収されたためとみられる。

 福島県にはスギ林が多く、住宅地のすぐ裏が森林になっている場所も多い。今後は、森の中から森の外、河川などに放射性物質がどのように移行しているかも調べる。

日経 2011/9/14 1:32
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819695E3E1E2E6868DE3E1E2EBE0E2E3E39180EAE2E2E2