愛知県、がれき受け入れ市町村 公表せず

 東日本大震災で発生した岩手、宮城両県のがれき処理で愛知県が県内市町村に受け入れ可能な量を再調査している問題で、環境省と県は14日、調査終了後も、受け入れ可能な自治体名や数、処分できるがれきの量を公表しない方針を示した。

 がれき受け入れに関しては、環境省が4月に調査した後、福島第1原発事故による放射性物質の付着を懸念する住民感情が高まり、実施されなかった。このため、同省の再調査の要請を受け、愛知県が13日に市町村などの担当者を集めて情報連絡会を開き、21日までに環境省に回答を報告することにしていた。県環境部の担当者は、再調査の結果を公表しない理由を「県は国の調査を仲立ちするだけ。国の非公表の方針に従いたい」と説明した。

 環境省は今回の再調査を、個別の地方公共団体名を公表しない前提で行っているという。同省廃棄物対策課は「今回はあくまで調査の段階。全国の受け入れ可能量など一定の情報は公表するが、県ごとの受入量までは出すつもりはない」と説明。「実際に受け入れる時は、市町村側が住民に説明することなどを検討したい」と話した。

 全国市民オンブズマンの新海聡事務局長は「地域の安全と被災地支援のバランスをどう取るか難しい問題だが、がれきはどこかで処理しなければならない。困難な問題だからこそ、住民に情報を公開し、議論していくことが大切で、非公開にするのは、間違いだ」と国や県の対応に疑問を呈した。

中日新聞)2011年10月15日 09時03分
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2011101590090305.html

放射性セシウムが検出された焼却灰――横浜市の海中埋設計画が凍結に

 放射性セシウムが検出された焼却灰を、海中廃棄物処分場に埋設する横浜市の計画が、地元住民の反対運動によって凍結されることが九月一四日に決まった。横浜市は十分な安全性評価を行なったとするが、住民は不安の色を隠さない。事前説明もなく、行政の進め方に疑問が残る形となった。

 横浜市によると、下水汚泥の処理工程から発生する焼却灰一キログラムあたりに含まれるセシウムは最大で六四六八ベクレル。政府が示した埋め立て処分を可能とする八〇〇〇ベクレルを下回る。このため、一五日以降に南本牧埠頭の南端にある廃棄物最終処分場へ埋める予定だった。

 同市の計画に抗議してきた住民グループの渡辺純さんは、「国の放射線安全基準を安全とは思っていない。放射性物質を想定していない処理方法で処分することには到底納得ができない」と憤る。

 住民らが危惧している一つが、放射性物質で汚染された水が処分場を超えて海に流れ出る可能性だ。処分場の小川泰一所長は「海と処分場を隔てる外周護岸の遮水壁は幅が二七メートル。海底層には杭を打ち込んでいるため水は通さない」という。だが住民グループの伊藤由彦さんは、「遮水壁といっても海底の砂地の上に、鉄の箱を積んでいるだけの場所もある。外洋と処分場が完全に遮断されているとは言い難い」と反論する。

 市は漁業組合や港湾関係者など一部にしか事前説明をしておらず、こうした説明不足も住民の不信感に拍車を掛けた。

 横浜市の北部下水道センターの一角には、土嚢袋に詰め込まれた五〇〇トン分の焼却灰が積み上げられている。高橋愼治センター長は、「早ければ年内にも保管場所がなくなる」と危惧する。

 住民側は、当面の保管場所となる中間貯蔵施設の用意に加え、国と東電に対して焼却灰の処理を要請することなどを要望している。

(形山昌由・ジャーナリスト、9月30日号)
週刊金曜日ニュース 2011 年 10 月 11 日 8:30 PM
http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/?p=1217

(岩手県)がれき火災の範囲拡大 山田で放水続く

 山田町船越のがれき仮置き場の煙噴出で、山田消防署は14日、朝から火災扱いに切り替え同署と町消防団がポンプ車と小型ポンプ車計16台で終日放水を行った。しかし、分厚い廃棄物に阻まれ、依然鎮火していない。

 山田消防署によると、同日朝に煙が噴出する範囲の拡大を確認。署員と消防団員計150人態勢で、がれきを重機で掘り起こしながら消火を進めたが発火場所に直接放水できず難航している。

岩手日報 (2011/10/15)
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20111015_6

がれき処理だけで1兆円超!震災復興需要に群がるゼネコン

東日本大震災から半年。被災地でのがれき処理が本格的に動き出し、ようやく大手ゼネコンの出番がやって来た。総額1兆円を超えるともいわれるがれき処理は、公共事業の激減によって苦境にあえいでいたゼネコンにとって、まさに「干天の慈雨」となりそうだ。
がれき処理や道路・港湾の整備、街づくりなど、復興需要のメニューは幅広い
Photo:JIJI

 東日本大震災で大きな被害を受け、多数の死傷者を出した宮城県仙台市。悲嘆に暮れた3月11日から7ヵ月がたった今、“復興バブル”の宴が繰り広げられている。

 東北地方随一の歓楽街として知られる国分町は朝まで大にぎわい。市内のホテルはどこも空室を探すのが難しいほどだ。

 宴の主役たちは、ゼネコンやマリコン(海洋土木や港湾建築工事を請け負う建設業者)、プラント設備業者などだ。

 地震津波で壊れた工場設備の修復といった民間企業からの発注工事はもちろん、ここにきてがれきの処理や道路・港湾の復旧工事など、国や地方自治体からのインフラ工事の発注も本格的に動き始めている。

 特に大規模な入札で話題に上ったのは、被災地のがれき処理。広範囲に津波が押し寄せたため、今も岩手・宮城・福島の3県合計でおよそ2270万トンものがれきが残されている。なかでも宮城県は、1569万トンと突出している。

 その宮城県は7月下旬、県下で最大のがれきが残る石巻ブロックから処理業者選定をスタート。8月下旬には、亘理名取ブロックで、残る気仙沼ブロック、宮城中部ブロックについてもこれから順次、業者選定を開始する予定だ。9月に入ってからは、岩手県でも業者選定が始まった。

 がれき処理で活躍するのは、大手ゼネコン各社だ。木材からコンクリート、鉄など、さまざまなものが交じっているがれきを分別し、焼却処理をしたり、リサイクルに回したりするなど、大がかりで手間のかかる作業となるため、大手のノウハウが必要とされる。

 石巻ブロックは、鹿島を中心としたゼネコン9社の共同企業体(JV)が一括で受注。焼却のためのプラントを5基建設し、1日1500トンのがれきを約2年かけて処理する計画で、金額は2000億円にも上る。

 また、4分割して業者を選ぶことになった亘理名取ブロックでは、西松建設、ハザマ、大林組、フジタの各JVが、仲よく受注を分け合った。

 かつてない被害のため、最終的な処理費用がいくらになるのか誰にもわからない。だが、業界では、「最低でもおよそ1兆円、費用がかさめば1兆数千億円にも上る可能性がある」(中堅ゼネコン幹部)といわれている。

 こうした動きを受けて、ゼネコン株もじわりと値を上げている。当のゼネコン各社は、「どの程度の復興需要があるのか、まだわからない」として、復興関連は業績予想に盛り込んでいないが、ひと足先に市場のほうが反応し始めたかたちだ。
原発関連工事も巨額に
長期工事で潤う業界

 本格的な処理に動き始めた宮城・岩手両県と比べ、がれき処理そのものが遅れているのが福島県だ。原発事故による放射能汚染問題を抱えているためだ。

 しかし、原発処理にもゼネコンが深く関与している。原発敷地内のがれきを集めたり、放射性物質の飛散を防ぐ建屋カバーを設置したりといった特殊な技術を要する工事を数多く受注しているのだ。

 ただ、被害の拡大に伴って一刻を争う状況だったため、きちんとした契約書も交わさぬまま工事が進められており、これまでの工事費もいまだに支払われていない。

 11月にも支払われるとの観測が流れているが、本当に満額支払われるのか。「もし減額されたら困る」との声も漏れてくる。

 こうした原発関連工事は今後も続きそう。当面、大きなものとなりそうなのが、放射性物質が漏れるのを防ぐ遮水壁建設だ。東京電力に指名されて技術提案を行っているゼネコンは6社。「500億〜1000億円規模の工事になる」(関係者)といわれている。

 最終的には、廃炉まで工事は続くことになり、一説には、こちらも1兆円近い金額になるのではないかとささやかれる。

 国の公共事業関連費は、1998年度の14兆9000億円をピークに、現在は半減し、ゼネコン各社の業績を直撃した。

 ゼネコンは、民間企業の建設需要や海外進出にシフトするなどさまざまな打開策を講じているが、いずれも成功したとは言いがたい。需要が伸びない国内では、過当競争を繰り広げるよりほかなく、疲労感は高まるばかりだった。

 そこへ降ってわいたのが震災に伴う復興需要。多くの犠牲者の上に立つ特需だけに、声高に「儲かる」とは言いにくい。
だが、がれき処理原発関連工事はほんの走りにすぎず、道路や港湾の復旧、そして街の再建など、今後、5〜10年以上もの長いスパンで公共工事は発生し続ける。

 長期間にわたる工事になるため、業績のV字回復には結び付かないと見られるが、それでもしばらくのあいだ、業界を潤すことだけは間違いない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 津本朋子)2011年10月12日
http://diamond.jp/articles/-/14372?page=2

▲愛知県:災害ごみ受け入れ調査に「受け入れできない」の選択項目がない!

 愛知県愛西市議の吉川みつこ氏のブログに、環境省が関係都道府県廃棄物行政主管部(局)へ出した事務連絡がアップされていました。がれきが受入れについての再調査です。
 その内容は驚くべきものでした。

・がれき受け入れをする県・市町村名は非公開。
・回答の選択肢に「受入れができない」という項目が無い。

 環境省は「住民の方の理解を得て広域処理を進める」「再調査であって要請では無い」としていますが、非公開にして理解が得られるものでしょうか?しかも回答期限は今週の木曜日です。それに、受入れが困難な状況だから他の方法で支援すると、回答させてはくれないのでしょうか?
 受入れ地域の住民が知らない間に被曝の危険にさらされることになるのでは、と非常に心配です。被曝は足し算ですから、可能な限り避けた方がいいのですから。情報公開を望みます。

以下、氏の了解を得てブログの内容を転載させて頂きます。

 13日、愛知県は市町村および一部事務組合を対象に、災害ごみ受け入れの説明会を開催した。

 配布された資料を紹介します。

1.環境省が県宛に出した文書

驚いたことは、
・ 東京が災害ごみを受けることを皮切りに、環境省出先機関がマッチングをする。
・ 調査をするが、市町村が答えたことは公表しない。

 市民に情報公開せずに、進めると言うことなのでしょうか?驚きです。市町村に於いては、しっかりと市民に公開しながらの協議をのぞみます。

2.県が市町村および一部事務組合宛に出した文書

 県は調査票に記入をし、提出を求めていますが、
★選択項目は、
A:既に受け入れを実施している
B:被災地への職員派遣や検討会議の設置等の具体的な検討を行っている
C:被災地への職員派遣や検討会議の設置等は行っていないが、受入れに向けた検討を行っている
から選択することになっており、「受け入れできない」という選択項目がない!

 検討がされていない場合は、受け入れられる条件を書くようにというもの。

 あまりにも強引な調査ではないか。(以下、赤字および赤ラインは私が書き入れました)