(青森)八戸市、微量でも処理不可 本県(岩手)がれき放射性物質

 東日本大震災で発生したがれきの広域処理について、県は受け入れを打診した八戸市から、がれきに放射性物質が微量でも含まれれば受け入れできない方針を示されたことが13日、分かった。県は条件緩和を求め同市と協議する方針で、同市もこれに応じる構えだ。

 県資源循環推進課によると、県は同市に対し野田村のがれきを市内の民間処理業者で焼却処理できないかと打診していた。同市は9日、受け入れたいとした上で、放射性セシウムが1キロ当たり20ベクレル以下の廃棄物に限るとの条件を示した。

 県の調査では同村のがれきセシウム量は測定機器の検知下限を下回ったが、20ベクレルを超すケースもあり得る。微量セシウムを検知するには農産物検査などと同等の精度が求められ検査に時間もかかるため、県は同市と条件面を協議する方針だ。

 同市環境政策課によると、同市は焼却灰を再利用する方針で、国交省が示す下水汚泥の再生利用基準である1キロ当たり100ベクレル以下を参考に受け入れ条件を検討。「たたき台」として20ベクレルを示した。

 20ベクレルは、埼玉県などが野菜や食肉の放射性セシウムを測る際、測定できる下限として定めている数値で「微量」に位置付けられる。

 同市の小林真市長は「基本的に受け入れる方向。放射能の影響について岩手県と協議を始めたばかりだ」とする。同市環境政策課の中村泰宏主査も「問題なく受け入れができる、より安全な基準として示した素案にすぎない」と説明する。

 県は推計435万トンの処理を2014年3月末をめどに終える計画で、来月からの県外処理開始に向け全国の自治体と調整中。

 松本実・県災害廃棄物対策課長は「受け入れの回答はありがたいが現状では条件が厳しい。より現実的に対応いただけるよう話し合いたい」とする。

岩手日報 (2011/09/14)
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110914_2