漂流がれき日米協議へ 300万トン、費用や汚染懸念


 日米両政府が、東日本大震災で太平洋に流出した大量のがれきによる海洋汚染や、米国漂着時の処理をめぐり、年明けから本格的な協議に着手することが二十九日分かった。複数の日米両政府関係者が明らかにした。

 国立環境研究所などの推計では、震災で発生したがれき約二千五百万トンのうち、約三百万トンは太平洋に流出。九月、日本から約三千百キロ離れた北太平洋の米ミッドウェー諸島付近で、「福島」との表示がある小型船や家電製品が大量に浮いているのがロシア船によって見つかった。

 米海洋大気局(NOAA)によると、これらは海流に乗って、早ければ来年三月にも米ハワイ北西部に漂着。その後、米本土の西海岸にも漂着する可能性が高い。

 米政府は、大量のがれきが船舶の運航障害や観光産業への打撃となる上、放射性物質を含んだがれきによる環境被害も起きかねないと懸念している。

 日本政府も、がれきの位置や量、今後の動きを人工衛星などで正確に計測・予測するため、情報収集費約七千万円を二〇一一年度第三次補正予算に計上。京都大に委託してシミュレーションに着手している。

 米側の懸念を受け、国際問題に発展する事態を避けるため、日米で連携して本格的な対応をとることにした。

 外務省によると、外国に漂着したがれき処理をめぐる国際条約はない。日米協議では、がれきが漂着する場所や量を正確に分析した上で、処理方法や費用負担について実務者が検討する見通し。

2011年12月30日 07時05分 (東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011123090070536.html