東日本大震災:震災がれき受け入れ 最終処分、難航も 県と市町の思惑にずれ /神奈川

 黒岩祐治知事が20日、東日本大震災で発生した災害廃棄物(がれき)を県内で受け入れていく考えを示した。県は一般廃棄物を燃やす中間施設を持っていないこともあり、これまで国と市町村の調整役にとどまっていたが、復興には受け入れが不可欠と方針転換した。ただ、がれきを燃やす施設がある市町や、県の最終処分場がある横須賀市との受け入れに向けた話し合いはこれから。思惑のずれも見受けられ、実現への道筋は不透明な状況となっている。【北川仁士、杉埜水脈、高橋和夫高橋直純、田中義宏】
 黒岩知事は今回の決断について「国難の中、県が何もしないでいいのかと思った。周辺住民の方は特に不安があると思うが、年明けに対話の広場を開催し直接説明したい」と話した。
 ただ、県幹部が「たくさんのハードルがある」と話すように実現への課題は多い。県内には16の最終処分場があり計12年分の受け入れ容量があるが、がれき受け入れが可能か国が10月に尋ねた照会で「検討中」としたのは横浜・川崎・相模原の3政令市のみだった。
 県は受け入れの形として「焼却施設でがれきを燃やした自治体に最終処分までしてもらうのが基本」と事実上、政令市頼みを隠していないが、受け止め方は異なっている。
 ◇林横浜市長「県が責任と理解」
 横浜市の林文子市長は「市で焼却する」と知事の方針を歓迎する意向を示したものの、「市の最終処分場は満杯。この点は県が責任を持ってくれると理解している」と話し、相模原市の加山俊夫市長も「広域処理の必要性は認識しており支援したい」とする一方、「焼却施設から排出される焼却灰などを受け入れる最終処分場の確保が条件」と述べた。川崎市阿部孝夫市長は「横浜、相模原と連携を図り、安全性確保を前提に市民の理解を得ながら受け入れに向けた検討を進める」とのコメントを出した。
 加えて、県の産業廃棄物最終処分場「かながわ環境整備センター」がある横須賀市には同日夕、県の担当職員が知事方針を説明したが、市幹部は「気持ちは分かるが地元に十分説明し、理解を求めてほしい」と戸惑い気味に語った。
 県は年度内に、がれきの県内での処理方針やルールなどをまとめ、市町村との調整を終えたい意向だが「あくまで努力目標」と先は見えていない。市町村との調整が進めば、費用の国費負担などを国に求めていくとしているが、当面は「県内の一般廃棄物放射能濃度もそんなに変わらない。区別なく入れさせてくれと言っていく」(県幹部)と要請する日々が続きそうな状況になっている。

毎日新聞 12月21日(水)11時19分配信
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