(東京都)ごみ行政 周辺自治体「苦渋の決断」 震災がれき後回し 

 可燃ごみ処理の行き詰まりで前市長が辞職し、十一日に告示された東京都小金井市長選。最大の争点のごみ処理も、本年度分は周辺自治体の「人道支援」で乗り越えられそうだが、その影響で、支援を決めた東日本大震災の被災地のがれき処理が遅れる懸念が出ている。「被災地も困っているのに」と、小金井市を優先する姿勢に疑問の声も上がっている。 (加藤益丈)

 「焼却炉の能力は限られている。小金井のごみを引き受けたら、被災地のがれきは受けられない」。小金井市のごみ五百トンの受け入れを決めた八王子市の担当者が残念がる。

 同市は、引き受け可能な被災地のがれきの量を五百トンに設定。その枠全てを、小金井市のごみ処理に使う。黒須隆一・八王子市長が先月、「身近な小金井がごみの山になるのは看過できない。苦渋の決断だ」と、小金井の前市長辞任を受けて決断した。

 唯一、今年も小金井のごみを受け入れ、先月新たに千トンの処理を受け入れた多摩川衛生組合(稲城市など)も本年度は、被災地のがれき処理を行わない方針。ごみ九百トンを引き受ける町田市も、来年三月下旬まではがれきの処理はできないという。

 被災地のがれき受け入れについて、多摩地区を代表して都と調整を重ねてきた福生市は「本年度は脱落するところが出るのは仕方がないが来年度はできるはず。小金井のごみを引き受けない自治体は、予定通り進めてほしい」と話す。

 被災地のがれきを後回しにする姿勢に対し、西多摩衛生組合(羽村市など)の担当者は「足並みをそろえて支援するはずではなかったのか」と驚く。同組合は小金井市のごみ処理の受け入れ予定はない。「被災地は自分の都合でがれきの処理を頼んでいるのではない。被災地の方が大切だ。一刻も早くがれきを減らすため、小金井ばかりを優先せず、少しでもがれきを処理するべきだ」と疑問を投げかける。

 都一般廃棄物対策課は「女川のがれき十万トンの処理の期間が延び、復興のスピードが遅れる懸念もある」と話し、事態の推移を見守っている。

 小金井市長選に立候補した候補者は、新人・元職計四人。候補者の一人は十二日、「少しでも多く被災地のごみを受け入れられるよう。ごみの減量に取り組みたい」と話した。別の候補者は「一刻も早くごみ処理を正常化し、被災地の復興支援に影響が出ないよう努力したい」と話した。

2011年12月13日 07時22分 (東京新聞
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