年1ミリシーベルト以上は除染地域に 環境省 福島第1原発事故

 環境省東京電力福島第1原子力発電所事故で飛散した放射性物質の処理について、10日に有識者検討会を開き、基本方針の骨子案をまとめた。追加被曝(ひばく)線量が年間1ミリシーベルト以上ある地域を国の責任で除染する。文部科学省の航空機調査では福島県を含め8都県に及ぶ。同20ミリシーベルト以上の地域をできるだけ早く縮小する一方、同20ミリシーベルト未満の地域は2013年8月末までに被曝線量を半減するとした。11月上旬にも閣議決定する。

 骨子案は来年1月に施行する汚染対策特別措置法に基づく基本方針の柱となる。焼却灰なども放射性物質濃度が1キログラム当たり8000ベクレル超を「指定廃棄物」として国が処理。発生地の都道府県から外へは持ち出さない。

 細野豪志環境・原発事故担当相は11日の閣議後の記者会見で「国の責任がより明確になった。1月の施行を待たず全力で取り組む」と述べた。

 事故後に原則立ち入りを禁じた警戒区域放射線量が高い計画的避難区域を国が除染する。同1ミリシーベルト以上の地域は自治体が主に除染するが、原則、国が財政負担する。これまでは、国の財政措置は同5ミリシーベルト以上に限るとの説明を受けたとして福島県が反発していた。

 同1ミリシーベルト以上でも子供の生活圏では、被曝線量を13年8月末までに11年8月末から6割減らす。

 警戒区域計画的避難区域では被曝線量が特に高い地域を除き「14年3月末までに除染し、除去土壌などを仮置き場に逐次搬入する」としたが、環境省は「14年3月末時点では同20ミリシーベルト未満に下げることを想定し、除染作業を終わらせるわけではない」としている。

 高濃度に汚染された廃棄物や土壌をためる中間貯蔵施設も確保する。貯蔵後の扱いは今後検討する。

 一方、高濃度汚染廃棄物や解体困難な廃棄物を除く災害廃棄物については、12年3月末をめどに仮置き場に移動させる方針だ。

日本経済新聞 2011/10/10 20:46 (2011/10/11 14:01更新)
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819499E3E2E2E3E28DE3E2E3E2E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;at=DGXZZO0195579008122009000000

放射性物質:進まぬ除染、道険し 雨のたび山から汚染土砂

 福島第1原発事故で放出された放射性物質の「除染」について、長期化への不安が住民の間で広がっている。山際の地域では除染後も、雨が降る度に、山から放射性物質を含んだ落ち葉や土砂が流れ込み、放射線量が再上昇した例も。7割が山地の福島県。都市部にも里山が多い。国は年間被ばく線量が1ミリシーベルト以上の場所で自治体が除染する費用を負担する考えだが、住民は「山の近くは繰り返し除染するしかない。その費用もちゃんと出るのか」と心配する。【町田徳丈、安高晋】

 福島市は7〜8月、市内でも線量が高い大波、渡利地区で除染実験を行い、数日〜1週間程度後に線量を再調査した。すると計885地点中7地点で、除染後の数値が除染前より高いという結果が出た。毎時3.67マイクロシーベルトから同4.63マイクロシーベルトに上がった側溝もあった。市は「山の近くや、山から水や土砂が流れ込んだポイントで数値が上がった」と分析する。

 大波地区に住む八巻祐子さん(52)の自宅裏には里山が迫る。まとまった雨が降ると山から庭に土砂が流れ込む。玄関先は毎時1マイクロシーベルト以下だが、庭は2マイクロシーベルト超。「どこもうちと同じ状況」と訴える。

 渡利地区で息子夫婦と孫娘2人の6人暮らしの裏沢利夫さんは、市民団体の調査で、自宅脇の水路から30万ベクレルを超える高濃度の放射性セシウムが検出された。「一度だけの形式的な除染では意味がない。定期的に実施できないのなら、住民の安心にはほど遠い」

 森林の汚染実態について調査してきた農水省は9月30日、宅地などとの境から20メートル程度の範囲の森林の落ち葉などの除去が効果的との中間とりまとめを公表した。だが、その中でも、常緑の針葉樹については「葉にも放射性セシウムが蓄積しており、通常3〜4年程度をかけて落葉する」として継続的な落ち葉除去が必要と認めた。

 2年間で全域の生活空間の線量を毎時1マイクロシーベルト以下にする計画を立てた福島市。今月中にも大波地区で本格除染を始める。山林については未定だが、国の「20メートル指針」に対し、地権者らの同意を条件に75メートル内部まで腐葉土を取り除く方向で検討している。除染は繰り返すしかないとみているが、長期的な財政支援が得られるのか、国からの回答はないという。

 「汚染土」の置き場の問題も深刻だ。国は国有林の活用も検討し始めたが、伊達市の担当者は「全域の『森林20メートル』は広大。大量の土砂を置く場所の確保は本当に難しい。それに人手はどうするのか」と指摘する。

 また、森林にはさまざまな役目がある。9月末に緊急時避難準備区域から解除された川内村。9割近くが山林で全域が井戸水や流水で生活する。村は約20年かけて山林全体を除染する計画だが、担当者は「水源を保つためにも山林は必要。木を伐採せず、森林機能を保持したまま除染する方法はないんでしょうか」と苦悩を語った。

毎日.jp 2011年10月11日 11時33分 更新:10月11日 12時21分
http://mainichi.jp/select/today/news/20111011k0000e040040000c.html?inb=tw

がれき受け入れ意向調査 秋田 放射性物質が懸念材料 

 秋田県は11日、環境省からの通達で、今週中に東日本大震災で発生したがれきの受け入れについて市町村の意向調査を実施することを明らかにした。4月時点で調査した際は県内で6市5事務組合(計22市町村)が受け入れ方針を表明していたが、その後、放射性物質を含むがれきが問題になっていることから、市町村の回答の動向が注目される。

 通達は21日までの回答を求めている。県環境整備課は「市町村によっては住民の意向を把握する時間が必要になり、回答が遅れることも考えられる」としており、とりまとめが月内までずれこむ可能性がある。

 これとは別に、秋田県内へのがれき受け入れは、10月5日に岩手県からの正式要請で、久慈市洋野町、野田村、普代村の計13万トンについて、受け入れる方向で調整中。同課によると、がれきは、角材・柱材▽可燃物▽不燃物の3種類で、可燃物については焼却灰で放射性物質が濃縮されることがあるため、岩手県の焼却テストで安全を確認したうえで受け入れる方針だ。

msn産経ニュース 2011.10.11 21:27
http://sankei.jp.msn.com/region/news/111011/akt11101121270002-n1.htm